足底筋膜炎の本質と対処法

 体に起きる症状には必ず意味があります。足底筋膜炎も起こ
るべくして起きています。足の裏にトゲが刺さったような痛み
が急に生じ、普通の歩行の様につま先で蹴り出すことができな
くなり、踵(かかと)しかつけなくなります。踵痛の場合はつま
先しかつけなくなります。これらは第二の心臓と呼ばれるふく
らはぎの筋肉を強く収縮させることで脳へ血液を上げる対応に
なります。
 足底筋膜炎も踵痛も、その本質はどちらも「脳の虚血」と
「脳圧の上昇」があり、根底には心臓機能(心臓のポンプ作用)
の弱りが存在します。これ以上進行すると脳血管障害を発生す
る危険性があるため、故意に突発的に発症させ、命を守る対応
をとるのです。脳の虚血と脳圧の上昇が改善されるまでは症状
は続くため足底筋膜炎は長期に及ぶ場合が多くなります。
 足底筋膜炎の場合は踵歩きをさせることで踵の骨に強い圧を
かけ、脳へ電気信号を送り、脳内の血流を確保し脳内調整します。
この応用が古代より日本に伝わる鼻血止めの操法になります。
鼻血は脳内の圧力を抜く対応ですが、長時間鼻血が止まらない
場合は仰臥位をとらせ、右足の踵を拳で強く上方にドンドンと
数回叩打します。これにより脳に圧刺激と電気信号を伝え、
止血します。日本伝承医学の右足の踵落とし(三指半操法)
同じ原理で用います。
 足底筋膜とは足指の付け根から踵の骨まで、足の裏に張られ
ている強靭な腱の膜になります。痛みの直接的要因は足関節の
アーチ構造の崩れに起因します。アーチを維持するために存在
する足底筋膜群の一点に負荷がかかり、腱の一部に炎症が生じ
てしまうのです。同様の症状例が偏平足、外反母趾、舟状骨
突出等になります。これらはすべて上体のねじれのゆがみの
応力を足関節全体が受けて一方向に応力集中が起き、お椀を
伏せたようなアーチ構造が破綻することで発生します。
 右足の足底筋膜炎の場合は上体の左ねじれが原因となります。
このねじれが右下肢に及び足関節にねじれの応力が生じるのです。
これは肝臓と胆のうの腫れと炎症により、胆汁の分泌が悪くなり、
肝胆を絞り込むことで胆汁の分泌を守るために発生します。
肝臓に大量の血液をとられることで、全身の血液配分が乱れ脳
に虚血と脳圧上昇が生じます。さらに胆汁不足からくる血液の
熱変性により、赤血球の連鎖が毛細血管の流れを停滞させ、
脳の虚血の要因として働きます。これが足底筋膜炎発生の機序
となります。故にこれを回復に向かわせるには、全体調整で
ある肝心要と足関節局所の二面からのアプローチが必要であり、
日本伝承医学はこれを達成できる唯一の治療技術になります。
補助法として足のアーチ補強テーピングと患部のアイスマッサージ
も有効になります。


≪参考文献≫ 有本政治著: 『日本伝承医学の家庭療法』