この骨に電気を発生させ、骨の持つ多様な機能を高めることを目的とし
たのが、日本伝承医学の技術なのです。
骨の両端から“圧”を加えることで圧電現象(ピエゾ効果)を生起させ、電
気を発生させるのです。つまり人体の「場の環境」を変えることができる
技術なのです。この圧電効果は、すでに実証済みです。
 骨折治療において骨に電気を流すことで、破骨細胞と骨芽細胞の二つ
の機能を促進し、骨折の治癒が著しく早まるという実験結果が世界各地
で報告されており、実際の医療の現場ですでに応用されています。
 これは外部から電極を骨に装着し、電気を流す方法です。これに使う電
気量は極めて微弱なものが有効だそうです。これと同じ効果が実は日本
伝承医学の骨に圧をかける(ピエゾ効果)ことで生起されることが実証され
ています。骨に圧力が加わる側にマイナスの、引っ張り応力のかかる側
にプラスの電気が発生することがわかっています。これにより前述の外部
から電気を流す方法と同様の結果が得られるのです。
 この二つの方法は、すでに治療に応用されています。骨に「圧」をかけ
て発生する圧電電気の電気量はわずかなものです。しかし、微弱な電気
によって、骨は十分に機能を発現できるのです。これは電気のエネルギ
ー作用とともに、情報としても作用していると思われます。情報としての作
用が働くからこそ、高い電圧を必要としないのです。


 足の26個の骨にわずかな「圧」をかけることで、電気を発生させ、骨のも
つ多様な機能の発現を可能にする技術であるのです。
 足という場所は全身の縮図とよばれ、また、足の裏にある圧センサーに
よって、脳と直結しています。また、足の骨の26個という数は、脊柱の椎骨
の数24個と仙骨、尾骨を加えた26個とも同数であります。肋骨の数も左右
12対の24個、両鎖骨をくわえて26個、頭の骨23個、左右耳小骨2個と頸椎
の中間に位置する舌骨を加えると26個になります。
 数の上からも、足部、脊椎部、肋骨部、頭部との連動は足の骨との相関
関係がうかがえます。けっして偶然ではないのです。足の骨の一個一個は、
全身のすべての骨と連結されているのです。
 日本伝承医学の足の技術は、骨に圧をかけることで電気を発生させる技
術であります。足の踵(かかと)と足の趾(ゆび)の二個所を把持するというこ
とは、全身の縮図からすれば、足部と頭部に相当します。
 前述した骨の数の相関、全身との縮図、姿勢制御のための圧センサーの
役割と合わせて考察しますと、足を操作するだけでまさに瞬時に全身に刺
激を波及できる驚嘆に価する技術なのです。


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