約30億年の地球上の生命進化の歴史をひもとくと、まず生命体は「海」
から生まれ、次第に魚類へと枝分かれし、約4億年という時間をかけて海
から陸へと上陸し、人類の祖先である脊椎動物へと枝分かれしていきま
した。
海は万物の母である証拠として、生き物の身体を形作っている元素(生
元素)の組成と体液の組成は、海水の化学組成とたいへんよく似ている
のです。海という水の中にすべての元素が水溶液として溶け込み、それ
を化合する「ゆすり」の場として海の“うねり”が存在したのです。
まさに母の手の「ゆりかご」の中ですくすくと育っていく「赤子」のように、
生物は海で進化していったのです。海は万物の“産み”の場でありました。
人体という構造体は一見すると“固体”であります。
しかし、その内容物は、内臓で満たされ、内臓はニュロニュロ、ドロドロし
た流動性のある物体です。水系成分が70%でできている人体というもの
は、見方を変えれば、「皮膚という皮袋の中に液体を充満させ、骨も内臓
も筋肉も脳もその中に浮かんでいる、ただよっている存在である。」とみ
ることができるのです。まさに、海の“うねり”と同様の動きができる構造
体です。故に、人体を大きく「ゆすったり」小刻みに「ふるわせたり」という
波体的な動きを作り出すことも可能なのです。
日本伝承医学ではこれを応用して、体内の「水」をゆする技術を考案し
ています。人体を液体と捉える着想の中から生まれた操法であり、大き
なエネルギーを生み出すことが可能な技術です。
内臓や子宮をゆすることにより、新たな細胞新生を促進させることも可
能となっています。
脊椎動物の支持組織であります「骨」は大部分がカルシウムから成っ
ています。
原初生命体が海水に発生したとき、その中に多く含まれる元素、カルシ
ウムを利用したことは当然と思われます。カルシウムはすべての細胞の
機能調節物質として最も重要な物質で、生命維持にかかすことができな
い元素であります。
故に、陸上に生存することになった生物は、カルシウムを十分に供給
できるシステムを体内にもたなければ、生命を維持できなかったのです。