あたりまえすぎて、逆に見失ってしまった概念、それは生物は生きる、
生き抜くという方向へ“生へのプログラム”がなされているということです。
 アポトーシスの概念の発見は、生へのプログラムの証明でもあったの
です。あまりにも身近すぎて、かえって見えなくなってしまったもの、この
概念の欠落が今おきている症状のすべてに病気の名前だけをつけ、結
果的には生命力、免疫力を低下させ病気を治せない状態に陥らせてしま
っているのではないでしょうか。病気の原理を究明しているはずの医学を
本末転倒の状態に陥らせてしまった根元の問題点ではないでしょうか。
 その延長上にあるのが、病気はすべて悪い反応という一方的な解釈で
す。その最高峰に位置するものが“がん”であり、がんは、“悪の使者” 
“悪の権化”死の病という認識は、ぬぐえないものになってしまったのです。
故にがん細胞は、ネクトーシス(他殺)しなければ治らないという頑固なま
での思い込みを生む結果となってしまったのです。
 

 細胞のアポトーシス(自殺死)という概念の発見は、がん治療への新た
な方向性を示すものです。その前提となる細胞の“生へのプログラム”と
いう一番たいせつな概念のもとに、全身はりめぐらされた対応システムの
一環にアポトーシスも存在しています。
 がん細胞を他殺でなく自殺に持ち込むことは、十分に可能です。以下そ
の対処法を考察してみたいと思います。


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