日本伝承医学では心疾患を、単に心臓のみの病変ではな
く、全身的な血液の循環・配分の乱れから生じる、対応の
ための症状としてとらえています。心臓に血液の循環・配
分が不足する状況が長期的に起こると、これを正常に確保
するために生体は必要な対応を余儀なくされます。
 心臓は「生」の瞬間から「死」まで休む間もなく動き続
けなくてはならない臓器になります。人が生きていくため
に不可欠な血液を全身に送り出す作用を最後まで担ってい
るからです。
 生命を成り立たせるためには「エネルギー」と「物質」と
「情報」の三態が必要です。この中の「物質」としての血液
の循環を直接的に作り出しているのが心臓になります。心
臓が動くためには電気エネルギーと物質としての血液が心
筋に供給されなくてはなりません。心臓の筋肉に常に新鮮
な血液が補充されないと、心臓のポンプを正常に動かすこ
とができないからです。
心疾患(心筋梗塞・狭心症)の本質

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