(五) 最終対応としてのがん形成



 “病気とは熱との闘い”です。また、生きるとは“変化対応する姿”であ
ると考えています。生物は、生き抜く、生き続けるという方向に“生へのプ
ログラムがされ、時々刻々に変化する内、外の環境に対応した形で、人
知を超えた設計がされています。生命体としての人体の設計にミスはあ
りません。しかし、この使用法を誤ると、生物としての生を全うすることが
できません。
 生へのプログラムの原則にのっとり、人体に備わった命を守るシステム
の一環としての「熱をすてるシステム」に着目し、これまで論をすすめてま
いりました。通常の「熱をすてるシステム」これに破綻を生じた場合、人体
はどういう対応システムを作動させて命を守っていくのかという視点でもっ
て考察してきました。
 熱をすてる対応のための五段階のシステムもいよいよ最終対応をむか
えています。人体の最終対応の姿とは何なのか、以下考察していきます。


 結論的にいうならば、がんは命を守る最終対応の姿なのです。
熱をすてる非常対応手段としての4段階、
  (1) 皮膚病としての対応  
  (2) 皮膚上にできる腫瘍(オデキ)としての対応
  (3) 体内に水症(水腫・浮腫)を発生させての対応 
  (4) 内部に腫瘍を作っての対応 
の形を経て、これらの非常対応にも限界が生じたり、適切な処置をとらず、
対症療法としての症状を消すことを主体とした処置を繰り返した場合、命
をつなぐ、最終的な対応としてがん細胞を異常増殖することで、その組織
を閉鎖、休止していきます。
しかし個体としての命は存続させるという非常最終対応の姿が“がん”と
いうものの根拠と機序であろうと考えられるのです。
 熱をすてるシステムの非常対応手段を駆使したにもかかわらず、熱を
すてることができなくなった段階を経て、限界状態に突入した場合、生命
体は命を存続させる最終対応手段としてがんを作っていくのです。
この根拠と機序を解説するにあたっては、命を捉えなおすという作業から
始めなくてはなりません。


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