脳梗塞の機序と予防回復法

 生命体は自らの命を死に向かわせる反応を起こすことはあり
ません。脳梗塞を一方的な悪の反応ではなく正の対応の視点で
捉え直してみます。結論的には、脳梗塞は、脳の毛細血管を
故意に詰まらせることで主要な幹線血管の循環を確保し命を
守る対応をとっているのです。
 脳内の血液の循環と神経伝達を守る対応として脳動脈の
「血管可塑性(けっかんかそせい)」と脳神経の「神経可塑性」
が立証されています。血管可塑性とは脳の毛細血管の一部が
閉ざされた場合、脳内の血管循環を守る対応として、新たな
血管を新生させてバイパスすることで血液の循環を守ることを
言います。神経可塑性も同様の対応になります。
 このように生命体は自らの命を守るためには人智を超越した
対応手段を発揮するのです。この事実から鑑みれば毛細血管を
詰まらせる対応は至極当然な事と言えます。主要な血管の流れ
を守るために、支線である毛細血管を詰まらせる対応をとるの
です。これをわかりやすく示す例が主要幹線道路の通行を守る
ために、支線からの車の流入を止める処置になります。
主要高速道路では日常的に行なわれている対応処置です。当然
渋滞が回避されれば流入ストップは解除されます。
 これと同様の対応が毛細血管の詰まり、脳梗塞になります。
脳梗塞が正の対応を示す事例が「無症候性多発脳梗塞」になり
ます。若い元気な人でもMRI検査で多くの毛細血管の詰まりの
画像が検出されます。その人は全くの無症状で、仕方なく
無症候性多発脳梗塞という診断名をつけざるを得ないのです。
(腰痛においても無症候性ヘルニア像が検出されます)
 では何故毛細血管を故意に詰まらせる対応をとらなくては
ならないのかが重要な課題です。これは脳内の虚血(血液不足)
が根本原因にあります。少ない血液を脳の主要な組織に循環
させるためには、支線の毛細血管は閉じざるを得ないのです。
さらに早く循環させるために脳圧を上昇させる対応をとります。
 この持続は脳内に熱を発生させ、脳の中心の脳幹に炎症を
生起させます。脳温(脳内温度)と脳圧の上昇は脳いっ血のリスク
を高めることになります。脳梗塞を予防回復させるためには、
脳の虚血を改善することが不可欠となり、そのためには全身の
血液の循環のための心臓調整と、配分を乱す肝臓の充血(炎症)
毛細血管の流れを遅らせるドロドロベタベタの血液回避のため
の胆のうの腫れをとる処置と脳温と脳圧上昇を除去する頭部、
両首冷却が必要です。これらを達成することができるのが
日本伝承医学の治療技術になります。

≪参考文献≫有本政治著:「脳梗塞・脳血栓をとらえなおす