(四)内部腫瘍による対応

 対応の第三段階である「水症(水腫)」に限界を生じたり、この水症(水腫)をとり去
る処置、あるいは自然良能に反した処置に終始した場合、人体に次なる対応手段
をもって命を守ろうと働きます。
 第二段階「皮膚上の腫れ物による対応」の項で体表にできるオデキの機序はすで
に解説してありますが、第四段階での腫瘍とは体内にできるオデキのことをさします。
 脳腫瘍、各種内臓の腫瘍、子宮筋腫、卵巣のう腫、大腸ポリープ、胆のうポリープ
等はすべての組織、器官に発生します。悪性、良性の区別をして呼ばれていますが
いずれにせよ発生の根拠と機序は同一です。尚、良性か悪性かの病理学診断は
大変困難といわれています。

 人体の熱をすてるシステムの非常対応手段の第四段階として、内部にオデキを作
り、熱と毒素をすてようとする対応の姿です。皮膚上のオデキの項で論述してありま
すようにオデキというものは、組織の界面を破り直接、組織外に熱と毒素をすてる
対応です。
 生へのプログラムがされている生命体は、直接命に関わらない組織から腫瘍を
つくっていくことは当然です。致命的になりかねない、体内部にできるオデキだからこ
そ、生へのプログラムにのっとり、慎重にその個所を選び、生きるための対応をし
ているのです。

 腫瘍ができやすい場所とは、生命に直接的に関わらない部分、女性でいえば子宮
内、男性では大腸内、男女を問わず脳内が発生しやすい場所としてあげられます。
 子宮筋腫を例にして考察してみますと、いきなり子宮内に腫瘍が起こるということ
はあり得ません。これまで解説してあります第一段階、第二段階、第三段階を経て、
体内の腫瘍へという機序をたどります。
子宮筋腫への機序はまず遺伝的体質として、肺と腎機能に機能低下をもたらしや
すい体質が前提としてあります。

 これまでたびたび論述してありますように、肺と腎臓は熱をすてるシステムの総本
山の役割をもっています。このシステムに遺伝的な弱さのある人は、幼少時より虚
弱体質的な傾向にあり、風邪をひきやすく、喉に炎症を起こしやすく、喘息、アトピー
になりやすい体質をもっています。また化膿しやすい体質です。生理不順、生理痛
も起こしやすく片側の卵巣機能低下を起こしている場合がほとんどです。
 上記の症状に対して適切な処置を施さない場合、子宮内膜炎へと移行することは
必然となってきます。さらに子宮内膜炎に対して適切な処置をとらず、炎症をおさえ
こむ処置に終始しますと、子宮全体の肥大の過程を経て、第四段階としての水症の
一種とみてよい子宮内の腫瘍「子宮筋腫」という病変に至っていくのです。



 子宮という器官は、膣を経て体外に通じており、“オデキ”の熱と毒素を
すてやすい場所であります。故に女性の場合、腫瘍を一番作りやすい部
分であるわけです。もちろんこれは生へのプログラムにのっとり、命を守
る対応の一環であることはいうまでもありません。
この延長上から考察しますと、再生能力の高い組織から発生しやすいと
も考えられます。
 結合組織、表皮、粘膜部(口、食道、胃、大腸、子宮)、排泄管(膀胱、
尿道)は人体の中で腫瘍は再生力の高い場所です。これらの場所に腫
瘍は発生しやすいと考えていいでしょう。


 そのよい例として男性の大腸ポリープ(突起状の小さな腫瘍)があげら
れます。大腸の単純性ポリープはS字結腸という肛門部に近い場所に
ほとんど発生し、圧倒的に男性に多い病変です。子宮筋腫と同様に、肛
門という外部に近い場所であり外部に熱と毒素をすてやすい場所です。
そして粘膜部という再生能力の高い場所にまず発生すると考えられます。
 この男女の例が示すように、内部に腫瘍を作ることで、熱をすてる第四
段階の非常対応手段を人体が講じていくのです。
それも命に別状のない個所から発生させて行くという機序のもつ意味を
認識しなければなりません。まさに“生き抜くというプログラム”通り、生命
体は命を守る対応を完璧にまでに順守しているのです。
 この第四段階の初期に相当する子宮筋腫、大腸ポリープの処置を誤る
と命を守る対応としての腫瘍を次々と別の組織、器官へと拡大することに
なり、熱をすてる対応を命の限界まで続けることになるのです。
 内部の「腫瘍」という病変は、原因も機序もいまだ解明されていないの
が実情ですが、体内に発生するオデキ(腫瘍)は実は熱をすてるシステム
の非常対応手段の第四段階として、組織、界面に直接“口”を開き内部
の熱と毒素を排出し、命を守る対応として働いていたのです。

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