めまいを起こした人がMRI検査を受け、脳梗塞がみつか
ることがよくあります。これをもって、脳梗塞がめまいを
発生させるものという間違った観念を私たちに植え付けて
しまっています。しかし、めまいも脳梗塞もどちらも命を
守る対応であり、脳梗塞があるから、めまいを起こしてい
るという関係は成立しません。めまいは、これまで述べて
ある通り、脳卒中を防ぐ警告サインであり、脳梗塞も脳の
血流を守るための対応であります。脳梗塞そのものは、無
症候性のものであり(無症候性脳梗塞)、これがめまいを発
生させている原因では、けっしてないのです。このめまい
と脳梗塞との関係を正しく認識しておかないと、めまいを
薬物でとめる処置を行うことになります。その場合警告サ
インを失った身体は、横たわることで脳の血流を確保して
命を守る対応を取れないことになります。これにより逆に
脳出血を起こしやすい状態を作り出してしまうのです。