病気を短絡的に「原因と結果」といった一元論的に診断
し、心や全身との相関を無視した、部分的、局所的な見方
では、多種多様な症状を“集積整理”してその本質を見定
めるといったことはそもそも無理というものです。これら
の症状に対しては、どうしても東洋医学的思考法に頼るし
か方法は見出だせません。
“心のあり方”をまず病気の第一次的要因と考え、精神的
感情の乱れを「怒・喜・思・悲・恐」という分類のもとに、
これがどの内臓の機能低下を引き起こすかを分析・整理
し、各内臓と身体各部との相関を説き、時間の経過(季節の
移り変わり・年齢の推移)の中で身体の変化順応を解説して
いる東洋医学的思考法を抜きにしては、更年期障害の症状
を解説することは不可能といってよいでしょう。
 日本伝承医学の技術は、更年期障害克服の大きな力とな
りうるものです。その生理観の根幹を成す体液(血液・リ
ンパ液・組織液)の「循環・配分・質」説を上記した更年期
障害の多種多様な症状の原理として導入し整理してみると、
まったくシンプルにその姿が浮かび上がってきます。


 

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