この更年期障害を日本伝承医学的にはどうとらえている
のか、わかりやすく解説してみたいと思います。
 日本伝承医学における生理観の根幹を成すものは、全て
の身体内の生理機能は体液(血液・リンパ液・全ての組織
液)の「循環・配分・質」の維持によって達成されている
と考えています。身体の組織の70%が水系成分であるとい
う事実に着目し、この「水」の「循環・配分・質」を全て
の生理機能を正常に働かせるために不可欠な条件として捉
えているのです。この原則を閉経時期に関わる更年期障害
に当てはめて考えてみます。
 閉経期というのは、それまで月に一回ある量の血液を体
外に排出していたリズムが狂ってくる時期です。一回の月
経量は約60cc(牛乳瓶 1/3位)となります。毎月60ccの血
液を排出したり、或いは作り出していた“体液調整リズム”
が徐々に変化していく時期ですから、身体にも何らかの変
調が現われるのは当然となります。古代の人がこの女性の
症状を「血の道症」と呼んで、体液の「循環・配分・質」
の問題として捉えていたのは、更年期障害を考える上で、
重要なヒントになります。

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