肛門付近の症状の生薬の塗り薬
≪漢方薬の塗り薬≫
漢方薬の塗り薬は生薬(しょうやく)を用いています。今から
4000年以上前から植物、動物、鉱物等の天然素材を原料とし、
生薬として用いられてきました。複数を組み合わせることで穏
やかに作用し慢性疾患や体質改善を図ります。
化学薬品(市販の痔の薬)の薬剤は患部の症状を封じ込めるだ
けなので一時的に痛みは和らぎますが、だんだん効かなくなっ
たり再発を繰り返してしまいます。
痔疾患をはじめ、すべての病状はその部位だけで発症してい
るわけではなく、内臓との関わりから生じているので、体全体
の関連の中でみていき根本から改善していくことが大事です。
漢方薬は患部だけを治すのではなく、体内の病根を取り除き症
状を改善していくことを主体としています。以下は痔疾患をは
じめ、肛門付近、肛門内部の症状の塗り薬の含有される生薬の
効能を記載します。
≪ヒサヤ大黒堂不思議膏≫
※1611年(江戸時代初期)から用いられています
●効能:肛門のかゆみ・痛み・出血・炎症等、切り傷、
打ち身、神経痛等
肛門直腸粘膜と臀部皮膚面から浸透して皮下組織に到達します。
有効成分がすみやかに体内に浸透し、有害な老廃物を排出させ、
もろくなった粘膜や切れやすくなっている毛細血管に潤滑性と
弾力性を与え、症状を改善していきます。
生薬は4000年以上の歴史の中で人類が気づき得た経験から
継承され続けてきたものになります。本来備わっている自然
治癒力を活性化し、生体機能を蘇らせ、生命力をあげていく
ことができるのが、生薬の力になります。
貝母(バイモ)・・・・ペイミン等のアルカイド成分が横紋筋
を刺激し、血圧を安定させ腸の運動を改善します。
甘草(カンゾウ)・・・含有されるグリチルリチンが粘滑性緩
和作用をもち筋肉の急激な緊張によって生じる痛みを緩和さ
せ、炎症をしずめます。
桂皮(ケイヒ)・・・・解熱、鎮痛に効く生薬とされています。
桂皮油の香気成分が内科疾患の万能薬とされ用いられていま
す。血流を改善します。
大風子(ダイフウシ)・抗菌・殺虫作用があります。
朝鮮人参・・・・・交感神経を抑制します。造血作用、新陳
代謝亢進の働きがあり昔から滋養強壮剤として用いられてき
ました。
大黄(ダイオウ)・・・成分のセンノシドがレインアントロン
に代謝されることで抗炎症作用、抗菌作用、鎮痛作用を促し
ます。
黄蝋(オウロウ)・・・腫れを抑制する作用があります。
肛門付近のかゆみ、痛み、違和感、出血等の
病状について
19~20世紀初頭にかけて肛門は死の判定場所として用いられて
いました。
肛門に痛みやかゆみ、炎症、出血等が表れるときは、著しく
生命力と免疫力が落ちているということです。忙しくて体が
疲れすぎていたり、悩みや心配事、いやなこと等のストレス
を受け、心身共に疲弊しているときに発症します。
日本伝承医学では心臓、肝臓胆嚢機能を高め、生命力と免疫
力を上げていくことに学技の主体を置いています。個別操法と
しての痔疾患、脱肛の手法は太古の時代から日本に伝承され
続けてきた技法となります。いま症状として表れているもの
すべては、疲れすぎた心身を休めてあげましょうという体から
のSOSになります。少し立ち止まって休息してみることです。
【痔の塗り薬の使い方】
上記に江戸時代初期から日本で用いられてきた漢方薬の塗り
薬について説明が書いてあります。漢方薬は自然の薬草等を
用いているため、体質改善して病状を内部から治してくれます。
ここでは使い方を明記します。
少量をチューブから指先に出して患部に塗ります。内部に痛
みがあるときは中に塗り込むようにします。下着が汚れるのが
気になるかたは、カットした薄いガーゼをあてます。生薬は皮
下から内部に浸透していくので一日何回か塗るようにします。
【肛門付近の痛み、かゆみ、ただれの時の家庭療法としての局
所冷却法】
肛門付近に症状が出ている場合は患部や内部に炎症が起きて
います。炎症を速やかにとり去り痛みを緩和する手段として局
所冷却法が著効を示します。
氷の粒を一個もって、肛門患部をくるくる回しながら冷却し
ます。2~3分冷却していくと痛みやかゆみが和らぎます。
冷凍庫から出した氷を肛門にすぐあててしまうと、肛門にくっ
ついてしまう場合があるので、一度水に通してから使います。
排尿時にトイレに行くたびに一日に何度も冷やします。患部の
炎症が引き、痛みやかゆみが緩和されます。
肛門付近に症状がでているときは、脳内に炎症が起きている
ので、就寝時に氷枕で後頭部を冷却します。アイスバッグでひ
たいや首筋も冷却します。冷却によって目覚めたときに脳の熱
のこもり(炎症)がなくなるので、自律神経のバランスが整い、
脳、心臓、肝臓胆嚢、大腸小腸の働きを正常に復することがで
きます。局所冷却法は最善の家庭療法となります。
(参)『局所冷却法のすすめ』著:有本政治
「痔疾患の機序と対策」