ここまでが警告のためのサインの段階となります。この段階までは、組
織の機能低下として位置づけられ、シグナル・サインに相当する過程と捉
えられるのです。
 このように人体は、いきなり機質変化、病名のつく段階に入るわけでは
ありません。何段階もの警告期を経て、病気へと移行していくのです。で
すからこのサインの時点で早く気づき、元に戻す処置を講じなければなり
ません。痛み、しびれが生じている当該部位をただ処置するのではなく、こ
れらの症状の元となっている内臓機能を整えてあげる必要があります。
 皮膚の異常、筋肉のこり、痛み、しびれ、まひは、体の内部からの警告の
ためのサインであるという認識がどうしても必要になってきます。
 ここまでは筋肉系、運動系を主体に、警告サインを説明してきましたが、
この機序とシステムは、“脳循環系”にもそのままあてはめることができま
す。脳循環系の段階的なサインは当初、首のこり、肩のこりというかたちで
あらわれてきます。
 次の段階が、痛みとして頭痛の段階です。そして次にしびれに相当す
るものとして、“めまい”及び聴覚異常の“耳なり”としてあらわれます。こ
れらはしびれ同様、脳への血行不良、血液不足により、小脳及び耳内の
平衡系に異常をきたし引き起こされるのです。


 次の段階は筋肉運動系のまひに相当するものとして、脳循環系では脳
梗塞、脳血栓というかたちをとっていきます。マヒとは、運動まひ、感覚ま
ひであり、脳内の循環不全、出血は半身不随、言語障害といった運動・感
覚まひを起こすことになります。
 しかし脳梗塞や脳血栓は、生命に支障をきたさない所から血管を詰まら
せることによって主要な血管を守ろうとしている、脳への血流を高めようと
している生への対応の姿でもあるのです。
 脳循環系も筋肉運動系と同様の機序をもって、最後まで体を守るために
警告サインを発してくれているのです。


 首・肩こり、頭痛、めまい・耳鳴りという警告サインの段階で、症状を対
症療法として押さえ込んだり、止めたりする処置に終始してしまうと、次々
に人体は防衛手段として警告サインの段階をあげていくのです。
 人体の持つサインとしての皮膚異常、筋肉のこり、痛み、しびれ、まひ
という段階的な警告システムを正しく認識することによって、自らの健康
は自らの手で守ることができるのです。
 人体は“生きるためのシステム”としてあらかじめ、サイン(兆候)を発す
ることで、命を守り抜くための警告をうながしてくれています。
人体への警告反応は、生きるための対応の姿なのです。


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