古代人の偉大な発見ー経穴・経絡


 漢方医学の偉大な発見の中で、特筆すべきなのがつぼ(経穴)の発見
になります。何千年という経験的な事実の集積の中で、内臓(六臓六
腑)の反応点として、体表にあらわれるつぼを発見したことです。
私たちが日常的につぼとよんでいる点の正式名称は「経穴」とよばれ
ています。現代生理学も内臓の体表への反応点を“内臓体壁反射”と
いう概念でとらえ、臨床に応用しています。代表的なものが盲腸(虫
垂炎)の反応場所としての「ランツ点」「マックバーネー点」とよんで
いるものになります。
盲腸になると右の下腹部が痛みますが、このような体表部の反応点
を当該部位の周囲だけではなく、全身に発展させ、発見していったの
が経穴になります。六臓六腑すべての反応点を手・足を含めた全身に
発展させています。つぼ(経穴)の数は一般的には365穴あるといわれ
ていますが、すべて内臓の反応点になります。そしてさらに共通のつ
ぼ(経穴)を“線”でつないだのが「経絡」とよばれるものになります。
経絡には陰経と陽経があります。
 例えば先ほど例にあげた盲腸は大腸の一部です。大腸の経穴を結ん
だ線を大腸経(経絡)という呼び名であらわし、大腸の反応のあらわれ
る場所を、点と線であらわしています。この点と線は、大腸と遠く離
れた上肢(顔面部から手指の示指まで)に反応場所があります。
 このように六臓六腑の反応点(経穴)と共通線(経絡)は全身の縦方向
に12本(左右対称で24本。任脉、督脉をあわせると26本になります)設
定されています。そして頭の先からつま先まで全身を網羅しています。
これらの線(経絡)は一本一本が途切れているのでなく、一本の線とし
て上から下、下から上へと流れています。
すべてが六臓六腑の反応点なので、該当する内臓につながっています。
経穴、経絡は、反応点と同時に治療点となっており、この点(つぼ)に
鍼や灸をすることで内臓の病気を治し、筋肉や関節の痛みを除去する
のが漢方医学の治療の方法となっています。

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