《血糖値上昇はストレスが原因》
血糖値が高くなれば、これを薬で下げるといった処置の方法では高血糖を根本的に
解決することはできません。高血糖を単なるすい臓の病としてみるのではなくもっと総
合的に、身体各臓器との関連、精神的な関わりを含めてとらえることが必要です。
日本伝承医学における疾病観、生理観はすべての病気・症状を血液の「循環・配分・
質(成分)」の異常としてとらえています。すべての病気、症状の始まりは精神的ストレ
スの持続による肝臓の充血、炎症(熱)に起因すると考えています。人体中最大の中身
のつまった血の塊の臓器である肝臓が充血を起こすと、まず人体内の血液の循環、配
分を大きく狂わしていきます。特に酸素消費量が大きく、常に多量の新しい血液を必要
とする脳に持続的な虚血状態をつくりだしてしまいます。
脳の血不足の持続は血液の循環・配分を守る対応として脳内の圧力(脳圧)高め、血
液の流れを促進しようとします。脳内は、脳圧が持続的に高まることで、脳の中心部、
いわゆる脳幹部に内熱を発生し、脳内温度、脳幹部温度が上昇します。脳幹部の温度
上昇は、その中にある自律神経中枢、ホルモン中枢の機能を低下させます。自律神経
の機能低下はまず交感神経の緊張を生み、肝臓を刺激し、糖新生を促進し、血糖値を
上昇させます。さらにホルモン中枢の機能低下は、血糖上昇ホルモンとしてのすい臓の
グルカゴン、甲状腺ホルモン、副腎髄質からのアドレナリン、脳内の成長ホルモン等を
異常に紛糾させ一過性に血糖値の上昇を生起させていくのです。
肝臓は血糖を作り出す場所であり、また血液成分を分解処理し、解毒する場所でもあ
ります。精神的ストレスの持続による肝臓機能の低下は、血糖不足を引き起こします。
体はこれを補う対応として、肝臓の血糖不足を人体中の血糖を総動員させ、一過性的
に血糖の異常な上昇を作り出していきます。つまり血糖値の異常な上昇は、命を守る
ための対応手段になります。
高血糖は単にすい臓からのインスリン不足として片付けられる問題ではありません。
よく糖尿病の患者さんが食事を節制して血糖値をコントロールしていたのに、怒りやスト
レスで一気に血圧の上昇と血糖値がはね上がってしまうことがあります。このように精
神的ストレスと血糖上昇のメカニズムは、密接に関わっているのです。
薬で血糖値を下げてしまうことは、一時的に血液の質だけを調整したにすぎず、血
液の循環、配分をかえって乱すことにつながります。循環、配分の乱れは余計に質の
悪化を招くことになります。精神的ストレスから起因する肝臓機能の回復が体を改善
していく上で不可欠であるということを認識していただきたいと思います。