肝臓と筋肉とストレスの話
筋肉の中でも僧帽筋(そうぼうきん)と胸鎖乳突筋は、脳神経
のひとつである副神経の支配を受けるとても大事な筋肉になり
ます。この二つは神経の影響を大きく受ける筋肉のため、精神
的ストレス(不安・心配事・いやな出来事・つらいこと・いらい
らすること・いかりや憎しみの感情・対人関係、家庭内の問題
等)があると萎えてしまい、本来の役割である血液循環が阻害さ
れてしまいます。
ストレスが肝臓を充血させ脳への血流を阻害し、正常な神経
伝達ができなくなるため身体は不調をきたします。 神経伝達は
脳の中枢部(視床下部)から発令されますが、脳内へ血液が回ら
なくなり脳が虚血になると、体はいち早く脳内へ血液を回そう
と働くため、熱を帯びます(脳の炎症)。脳は最も熱に弱い臓器
なので、脳の炎症は神経伝達を阻害するだけではなく、全ての
生理機能を狂わせていき、様々な病気を発症させます。
またストレスで肝臓(胆のう)機能が低下すると、筋肉組織が
脂肪に置き換わる現象が起こります(脂肪変性)。脂肪変性が起
きると筋肉の大事な働きである血液循環(筋ポンプ作用)ができ
なくなるので、血液の配分や質が低下します。
一般的には加齢や運動不足が脂肪変性の原因とされていますが、
根底には肝臓(胆のう)の機能低下があるということを覚えて
おいてください。
日本伝承医学ではこのように、体に生じる現象を単にその部位
だけでみるのではなく内臓との関連の中で捉えていきます。
「氷山の一角」という言葉があるように、水面上に浮かぶ氷山
の一部だけをみていては適確な舵(かじ)はとれません。水面下
に潜む氷山全体をみてこそ、正確な舵がとれるのと同じ原理に
なります。具合が悪くなった時には大事に至る前に、見誤らな
い判断が必要です。
日本伝承医学は肝心要(かんじんかなめ)の医学と言われるよ
うに、肝臓(胆のう)と心臓を中心に学技が構築されています。
ストレスで心身が受けたダメージをできるだけ軽減するために、
心臓調整法、肝胆の叩打法、自律神経調整法等を用いて施術に
あたります。また家庭療法としての局所冷却法(頭部と肝臓冷却)
を実践していきます、家庭療法の詳細は日本伝承医学のホーム
ページの下記項目を御覧下さい。
日本伝承医学の家庭療法~局所冷却法