秋は肺が活発に働く季節です。肺は皮膚と密接な関係があります。
皮膚機能を高めることで、肺は養われます。乾燥肌になっては肺は養
えません。皮膚(肌)をよい状態に保つには、昔ながらの乾布摩擦、馬
油等で皮膚機能を高めることが秋の養生法として大事です。
冬は腎を養う季節です。腎を養うには、睡眠が重要です。本来動物は
冬は冬眠の季節です。冬眠とは、食事を取らず、エネルギーの消耗を
おさえてじっと動かないのが原則です。冬に大汗をかくような運動を
したり、多食に走ることは、冬の養生法に反することを自覚して頂き
たいと思います。
 また時間との対応は、一日の中にも応用できます。肝の時間帯は夜
の1時から3時、心の時間帯は昼の11時から1時、脾の時間帯は朝の9時
から11時、肺の時間帯は明け方の3時から5時、腎の時間帯は夕方の5
時から7時になります。本来この時間帯は、各臓器が活発に活動する
時間帯になります。しかし、臓器に弱りがある場合は、逆にこの配当
されている時間帯に様々な症状を引き起こしてしまうのです。
人体とは、実に正確に時間と対応しています。該当する時間帯に身体
の不調が起こる場合は、日常の自己診断法としても使えます。心臓に
弱りのある人は昼の11時から1時の真昼の時間帯は外出をひかえ、養
生にあてるといったことも健康を維持していく上で大切な知恵となり
ます。
 また当院が推奨している肝臓と頭の冷却法は、漢方医学の教えの実
践でもあります。いわゆる精神的ストレスの持続は、まず肝臓に炎症
肥大を起こします。そして肝機能の低下は肝と脳との密接な関係から
脳内温度を上昇させます。この漢方理論にのっとり、肝臓と頭の冷却
法が深い意味をもっているのです。実生活の中での漢方医学の応用の
一例を列挙してみましたが漢方を基調に、すべての物事を考えていく
と、実生活上、何を明確にしていくかがはっきり見えてきます。
生活の知恵としてぜひ活用していただきたいと思います。

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