人体は電気で動いている

  現代のほとんどの道具・機械・器具を作動させているエネルギーは、電
気であるといっても過言ではないでしょう。身近な例をあげれば、現代生
活にかかせなくなった携帯電話機が良い例です。頻繁に電話やメールを
使用すると、あっという間に充電切れになってしまい、あわてて充電する
ということは、日常よくあることです。
 携帯電話のエネルギー源である電池は日々進歩を遂げ、従来のものよ
り数段に寿命も持ち、充電時間も短縮されました。今やいかに小さく、い
かに長く充電量が持ち、また短時間で補充充電できるかを命題に、各社
がその研究にまい進しています。電池(バッテリー)電源がなければ、ほと
んどの道具・機械・器具は作動
しないのが実状です。


 このように現代生活の中で、エネルギーとしての電気の必要性は、言う
に及びません。電気がなければ,生活は成立し得ないと断言できるのです。
この世のすべての道具・機械・器具は、人体の持つ構造・機能・形態の延
長上にあり、逆に人体はすべての道具・機械・器具の「構造・機能・形態」
をより精妙に備えています。
 この原則を証明するのが「ロボット」の世界です。最近のロボットの実用
化の成果は驚くべきものです。歩いたり、踊ったり、階段を上下したり、近
い将来、走ったり、跳んだりするロボットも開発されることでしょう。
より人間に近づいてきました。


 すべての生命体のしくみは、「物質・情報・エネルギー」の三態を有して
ないと生きていけません。最近のロボットは、「物質」としてのその素材は
より人間に近づき、人間の皮膚の機能に近い人工皮膚も開発されてきて
います。また「情報」に関しては、人間の脳により近い、人工知能をすでに
開発され、思考、判断ができるロボットも登場してきています。しかし問題
は、「エネルギー」です。現状のロボットのすべてが、電気をエネルギー源
としてパワーサプライしています。電気によって、モーターを回し、動くこと
ができるのです。歩くロボットの場合は当然、電池(バッテリー)をエネルギ
ー源として動くことが可能になっています。

 実は、このパワーサプライが、今後のより人間に近いロボット開発の命
題なのです。人工知能を持ち、人間の手よりも巧緻な動きができ、人工
皮膚をまとい、感覚情報システムが人間のシステムに近づき、走ったり、
跳んだりできても、バッテリーが切れてしまえば、ただのスクラップ同然で
す。バッテリーの電圧が低下すれば、ロボットのすべての機能は低下しま
す。そして停止してしまいます。どんなに小型で持久性もあり、補充充電
時間が短いバッテリーが開発されても、ロボットがモーターを回して動力
源にしている以上、バッテリーの電圧低下を回避はできません。
ロボットは、バッテリーで生かされているからです。

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