人体にあてはめて検証してみますと、皮膚からの“発汗”による気化熱
がこれにあたります。風邪などの発熱時にたくさん汗をかいたとき、体表
から熱を奪っていきます。内部に発生している余分な熱をできるだけ早く
放出し、平常に戻そうとしているのです。 汗による気化熱いう冷却効果
によって、発生した余分な熱をすみやかに排出させ、解熱効果を高めて
くれているのです。冷や汗、寝汗等も同様です。また筋肉運動をして筋肉
に発生した熱も汗として冷却しています。。
  体温をすみやかに効果的に下げるには、この気化熱を応用することが
理想的です。 人体の皮膚面積は畳一畳分といわれていますが、このす
べてを使って発汗気化熱作用で身体を冷却しているのです。  
  気化熱現象を効果的に作用させるためには、風をあてることが必要で
す。扇風機、うちわ等は風をあてるために大変効果的です。また、直接の
空冷作用も持っています。


 次に自動車のエンジンを考えてみましょう。
エンジンはオーバーヒートを防止するために周到な設備を持っています。
空冷、水冷の冷却装置、熱やガスの排気装置、ピストン部の熱を回避す
るためのエンジンオイル、オートバイのエンジン部に見られる空冷のため
のフィン状形態等、熱を排出させていくための様々な工夫が凝らされてい
るのです。
 エンジンを長時間稼動させるためには、発生する熱をどう処理していくか
がエンジン保持の命題なのです。まさに人体の熱をすてることで生命を守
っている作用と同様です。
  自動車のエンジン部の熱をすてる装置のなかで、水冷装置は、人体の
何に相当するかといいますと、症状としての“水腫”がこれにあたります。
例としてやけどをしたときの“水泡”、関節に炎症が起きたときの“水腫”、
脳に水がたまる脳水腫、 腹に水がたまる腹水症状等があげられます。
これらの“水腫”は炎症(熱)をしずめるための冷却効果をねらったもので
す。わかりやすくいえば、やけどの時の“水ぶくれ”がよい例です。
  次に車の排気ガスに相当するのが、肺の呼気作用です。肺の中のガ
ス交換として、二酸化炭素を鼻や口から吐き出します。これはガス交換
だけでなく、体内の“熱”を吐き出す作用も兼ねているのです。
  呼気作用は肺だけではなく、体内の有毒ガスは皮膚上からも体外に
すてています。これを皮膚呼吸とよんでいます。皮膚は呼気作用だけで、
吸気作用はもっていません。

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