漢方医学は、精神的作用と内臓との関連を見事に説き明
かしてくれています。これまで述べてありますように、精
神的ストレスは肝臓に充血、炎症をもたらし、肝機能を徐
々に低下させていきます。その過程を次のように解説して
みます。
 肝機能は進行状況に応じて、肝気鬱滞(かんきうったい)、
肝火上逆(かんかじょうぎゃく)、肝陽上亢(かんようじょう
こう)、肝風内動(かんぷうないどう)という病理現象に分類
されています。

肝気鬱滞   精神的ストレスによる肝臓の機能減退を
指しています。電気レベルの低下の段階になります。
肝臓本体ではなく、精神的抑うつ、焦燥感、イライラ、神
経過敏等の精神症状と胸や脇の引きつり、痛み、黄疸、口
の苦味、胃の不快感、胃痛、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、
生理痛、生理のおくれ、月経停止などの症状が表にあらわ
れてきます。
 
肝火上逆    肝臓が充血をおこし、肝臓の熱症状が強
くなる段階です。熱は上にのぼる性質上、頭部に症状が現
われます。上頚部のつまり感、激しい頭痛、めまい、目の
充血、耳鳴り、鼻血、高血圧、更年期症状、各種目の疾患
等が特徴になります。

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漢方における 肝臓機能低下(充血)が
もたらす 全身への波及