膝十字靭帯断裂症の機序と対策

 昨今、球技系の運動選手に膝の十字靭帯断裂症が多発してい
ます。特に女子選手の発生率が高いのが特徴です。当然これを
予防するために徹底した下肢筋肉の強化、身体のケア、リハビ
リ等の全てをやって対策にとり組んでいるのが現状になります。
しかし残念ながら防止はできず、選手によっては23度と繰り
返すケースが多々見られます。この現状を省みると、このケガ
の背景にはもっと根本的な問題が潜んでいると考えられます。
それは何かと言いますと、この外傷を単に膝関節という局所の
問題としてではなく、全身との相関の中で捉える総合的な視点
が必要なのです。
 関節を外傷の応力から守る靭帯は、大変強固に作られており、
そう簡単には断裂しない構造になっています。それが他人と接
触して関節をひねっている訳でもないのに、いとも簡単に急激
なストップやターンをしただけでも靭帯断裂が起きてしまいま
す。これは明らかに背景に靭帯の弱りと劣化が存在していたと
考えられます。
 極限まできている靭帯に何らかの膝へのねじれの応力が加わ
った時に膝十字靭帯断裂は起きます。つまり起こるべくして起
きているのです。怪我とは我を怪しむと書きますが、正にその
本質を見事に言い表わしています。以下靭帯断裂の機序と対策
を説明します。

 膝の十字靭帯に弱りと劣化が起きるのは、膝関節にかかって
いるひねりの応力の蓄積になります。この膝関節にかかるひね
りの応力の源は、上半身に起きている上体のねじれに根本原因
があります。体全体に発生しているねじれのゆがみが下肢の
中心に位置する膝関節にねじれの応力を蓄積していくのです。
つまり全体と部分とを総合した身体観で膝を捉えると、その解
答が導き出されていきます。
 上体が右ねじれになれば左膝に、左ねじれになれば右膝に、
内股の人は両膝に常にねじれの応力がかかっていきます。この
怪我の防止と改善には、身体全体のねじれのゆがみの修正が必
要であり、次に膝関節のねじれの修復という両面からのアプロ
ーチが不可欠になります。また日頃からねじれの修正を目的と
した身体的ケアが必要です。日本伝承医学ではこの二面からの
アプローチを行なっています。また家庭療法としての氷冷却法
を指導しています。(詳細は日本伝承医学ホームページの
「スポーツ外傷の8割は起きるべくして発生している」
人体バナナ理論』『人体積木理論』「体のねじれのゆがみ
 の項を参照)