発熱は回復治癒への第一歩

 


 体が体力や免疫力を失いつつある場合、元に戻す対応処
置として体は発熱現象を起こします。体を構成する分子の
運動を活発にすることで体を発熱し、約60兆に及ぶ全身
の全細胞を活性化するためです。全身を構成する全細胞の
働きを高めることで回復のための機序を獲得しているので
す。

  発熱には全身性の発熱と、局所(内臓、組織、器官)の発
熱があります。全身性の発熱の方が初期的な対応であり、
この繰り返しでも回復できない場合に体は次に局所に発熱、
炎症を起こし、回復を図ろうとします。

病名のつく病気のほとんどが、何々炎という炎症状態にな
ります。局所の発熱、炎症は、体の健康状態がある一線を
越えて、全身性の発熱では対応できなくなってしまった場
合に生じてきます。次の段階的対応として局所に熱を発生
して機能回復を図ろうとするのです。よく、何々炎という
内臓の病気になった人がその経過の中で、以前は一年に一
回位風邪をひいていたのにここ数年は風邪をひかなくなっ
たといわれることが臨床上しばしば見うけられます。

 全身発熱の代表が風邪という病気になりますが、風邪に
は落ちた体力と免疫力を回復する作用がある側面を見落と
してはなりません。風邪の症状の一番の特徴は、全身性の
発熱になります。

この発熱を悪い対応としてとらえるのではなく、バランス
を崩している体内の掃除、免疫力低下を回復させる治癒への
第一歩としてとらえることが大事です。私たちの体は、全身
性の発熱を起こすことで、回復治癒への機序を与えているの
です。

 慢性的な内臓疾患や虚弱体質の人が回復する過程のある時
期に、必ず38度5分以上の発熱がありますが、これは必要
条件であり、この機序をしっかりと把握しておくことが大事
です。

発熱は解熱剤を使用しないで、自然に通過させて解熱させて
いく
必要があります。この発熱によって、一気に様々な症状
が消失していく起点となるからです。

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