体は発熱することによって、風邪のウイルスや細菌を退
治しようと白血球を増やしています。それでもその働きを
人為的に阻止してしまうと白血球が増えず、ウイルスを退
治することができなくなります。いつまでも風邪の症状を
引きずるばかりか、髄膜炎という重篤な病に移行する引き
金となってしまうのです。
またすでに発熱した熱は、通常の放熱システムには移行せ
ず、熱をすてる手段として全身性に皮膚湿しんを発生させ
る場合もあります。しかしこれも熱を体外にすてる非常手
段としての対応になるので、悪い反応として薬で押さえ込
んでしまうことのないようにしてください。症状は、封じ
込めれば込めるほど、より内部へ、深刻な状態へと進行し
ていきます。
また解熱剤を使って無理やり熱を抑えてしまうと体は異
様にだるくなり、頭がぼうっとしていきます。すっきりし
ない後遺症が2〜3週間残り、その後、微熱が2〜3ヶ月
にもわたり続く場合もあります。微熱とは、体が発熱して
元に戻したくても、体力や免疫力が低下していて高熱を発
生できない状態のときに起こります。この微熱をさらに薬
で抑える処置を繰り返していくと、急性白血病に移行する
場合がみられます。
しかし急性白血病も体の免疫力を高めるために、白血球を
急激に増やそうとしている命を守る対応の非常手段になり
ます。これを異常としてとらえ、白血球を減少させる処置
をしてしまうと、免疫力が弱まり、命を縮めてしまう結果
になります。
発熱の機序をしっかり認識し、解熱剤を濫用することがな
いようにしていただけることをせつに願います。