発熱を解熱剤で急激に下げてしまうとどうなるか
病気とは、その本質を見ないで表面に現われた症状だけ
で対処していくと、根本的な解決にならないばかりか、新
たな病に移行する機序を体に与えてしまうことになります。
体に現われる病気や症状には意味があります。
発熱という症状は、全身60兆の細胞の活性化を図り、
体を元に戻そうとしている対応の姿であり、最も大切な初
期発動の形態になります。熱を出す必要があって発熱させ
ているのであり、この回復のために必要な熱を、解熱剤に
よって急速に押さえ込んでしまうと、さらに次の症状へ移
行してしまうことになります。
すでに十数年前から、風邪による発熱は解熱剤を使用し
ない方が治りが早いという報告が、医療現場や学会におい
て取り上げられていました。現在の解熱剤は、解熱作用が
数段に強くなり、39度近い高熱が一時間くらいであっと
いう間に下がってしまいます。このように熱を急激に下げ
てしまった場合、弱年層(15歳以下)や高齢者(65歳以上)
は、脳障害や脳瘍を併発しやすくなります。発熱させて、
分子運動を活発に行なっているのに、解熱剤で脳の発熱中
枢を麻痺させてしまうと、熱の出場所を失った人体組織は、
より深部に発熱、炎症を起こすように働きます。人体の中
心部、髄膜(ずいまく)という中枢の脊髄の膜に熱の出場所
が移行してしまうのです。風邪による発熱から髄膜炎を発
症してしまうのは、このように熱を急激に下げてしまうから
になります。