私たちの体は必要なときにはすぐに発熱させ、必要が
なくなれば速やかに熱をすてるシステムが作動するよう
になっているのです。では発熱することで、体は何をし
ているのでしょう。

  発熱は、低下した体温を上昇させて、全身の体温を上
げることで、体の分子の運動を活発にし、60兆に及ぶ
全細胞の活性化を図っているのです。発熱は体を良い状
態に戻すために働く、自己良能の最初の発動の姿になり
ます。

  人体は約60兆に及ぶ細胞で構成されています。この
細胞のひとつひとつは細胞膜によって仕切られ、細胞と
細胞の間は体液で満たされています。細胞の内の水分と
細胞の外の水分は、細胞膜を通して内外と交流していま
す。この水の温度が体温になります。

  細胞を活性化するためには、内外の交流を活発にしな
ければな
りません。体温が上がることで、水の分子は小
粒子化し、細胞膜の透過性が高まるのです。全身を発熱
させることで、細胞と細胞外の水の交流を促進させます。
そして全細胞を活性化することで体の状態を元に戻そう
と働くのが発熱の作用になります。

  また発熱時には、血液の成分中の白血球の数に変化が
起こります。免疫力は白血球によって維持され、白血球は
私たちの体をウイルスや細菌の侵入から守る免疫システム
の要となっています。この白血球の数は、体温によって
大きく変化していきます。体全体の免疫力が低下したとき
は、白血球も低下しています。発熱して体温が上昇すると、
白血球は急激に増加します。
これによって、ウイルスや
細菌と闘う力を増強させて、体を守ってくれているのです。

このように全身の発熱とは、生命を守る上での一番初期の
発動の姿であり、この発熱によって命は守られていくので
す。

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