人体内の熱の特性

 私たち人類は哺乳類に属し、恒温動物という種族に入りま
す。恒温動物というものは、体内温度をある一定の温度に保
つことで、生存を可能にしています。そして人体はその成分
の三分の二が水で構成され、体温は36度〜37度という
至適温度を持ち、水と熱の反応系の中で生命活動を営んでい
ます。
水という物質は、冷めにくい性質をもっています。
お風呂のお湯を考えてみると、水の性質がよくわかります。
水は、ガス湯沸かし器で一瞬にしてお湯になりますが、42
度位のお風呂の温度を元の水の温度に戻すには、大変な時間
と労力を必要とします。
また水には、物質が溶け込みやすい
性質があります。
人体における体液、血液がこの水にあたり
ます。私たちの体は体液、血液を循環させることで、生命の
しくみとしての物質・エネルギー・情報を体の隅々まで運ぶ
ことができるのです。

 体温とは体内の水の温度と言い換えることができます。
この水の温度を36度〜37度の間に保っていないと、生命
は維持していくことができません。体は36度5分以下にな
れば発熱することで体温を上昇させ、36度5分以上になれ
ば放熱することで体温を降下させる機構が働きます。特に高
くなった体内の水の温度をいかに速やかに下げ、熱をすてて
いくかが生きるための重要な課題になってきます。そのため
人体には熱を下げるための機構を幾重にも完璧に備えている
のです。
人体内の熱に対する対応には、低温に対しては順応
性が高く、高温に対しては非常にもろい特性があります。

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