横隔膜の動きは呼吸に密接に関わっています。横隔膜は息を吐くこと
で上方に上がり、吸うことで下方に下がります。これに連動して、全肋骨
の開閉運動も起こります。息を吐くときは下部肋骨が収縮し、息を吐きや
すくします。息を吸うときには上部肋骨が持ち上がることで胸腔を広げて
くれます。この動きによって、胸腔部(胸椎、胸骨、肋骨で形成される心臓
や肺のおさまっている部分)の容積が拡がり、内部に陰圧状態が作られ、
肺内部の肺胞がふくらみ、空気が充分に取り込めるようになっていきます。
呼吸作用の約70%は横隔膜の上下動に依存しているといわれます。
横隔膜の働きは、呼吸にとって重要な役割を果たしているのです。

3.肺気腫の対処法

肺気腫を改善するためには、まずねじれた体のゆがみを取り去り、横隔
膜の正常な動きと、肋骨の動きを取り戻す必要があります。そうすれば、
肺全体の容積(胸郭)を拡げることができます。これにより陰圧が作り上げ
られ、肺胞の中に充分空気が取り込め、肺胞の破壊膨張をくい止めること
ができます。
綿(わた)のように幾重にも連なる脳の毛細血管の数個所に梗塞(脳梗塞)
を起こしても、命に支障がないように、両肺で約6億個もあるという肺胞の
わずか数個所が破壊されても、けっして命に別状はありません。すでに破
壊されくっつき合ってしまった組織はそのまま停止状態となりますが、他の
肺胞の組織が活発に働き、機能低下した部分を補ってくれます。
 肺気腫の初期段階はせきやたん、息切れや胸苦しさが続きます。以前で
はぜんそく、気管支炎等ですまされていたこれらの症状も、医学の進歩と
共に初期段階において肺気腫という病名がつくようになってしまいました
(
若い人に多くみられるようになったのも、最新機器の検査によって初期の
うちに発見されるケースが多くなったともいえます)

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