肺気腫になりやすい人は元来、遺伝的に心肺機能の弱さをもっています。
もともと息を吐き出す機能に弱さがあります。うまく吐けないため吸うことがで
きず、呼吸器系に支障をきたしてきます。せきやたんを出すことによって、のど
や気管支の血行を促し、機能低下した部分の働きを鼓舞させようとします。
また、せきやたんは気管支や肺の内部をきれいに保つために、有害物を口
から外へ排出させる大事な役割を担っています。
息苦しさや胸苦しさを伴いますが、そのサインによって体は反応していくので、
痛みや苦しみ、出ている症状を鎮痛剤や炎症止め等で止めてしまうと体はサ
インを失い、自力で再生しようとする力を失ってしまいます。
 また、心肺機能が弱い人は、体にねじれのゆがみがあります。心臓機能が
弱いため、心臓の吹き出しを守ろうとするため体は右ねじれを起こしていきま
す。体にねじれが生じると、横隔膜の上下動、肋骨の開閉が制限を受けます。
そして肺の容積を拡げることができにくくなり、肺全体の陰圧状態を作り出せ
なくなります。体はこれを回避しようと働き、酸素を充分に取り込もうとするた
めに、肺の内部に空洞を作ってまでも、肺内部の陰圧を高めていきます。肺
胞を次々に破壊し肺胞同士をくっつかせ、ふくらませ、気胞を作り、肺の内部
に肺気腫としての空洞を形成していくのです。空洞を形成することで容積を
拡げ、内部に陰圧を作り出し、残った肺胞に空気を充分に取り込ませ、ガス
交換を守り、命を存続させる対応処置をとっていくのです。
 体に生じるねじれのゆがみが横隔膜の上下動を制限しますが、もうひとつ
の要因として精神的ストレスの持続による肝臓の肥大、充血、炎症があげ
られます。肝臓は体の中で最大の臓器になります。そして横隔膜のほとん
どが肝臓と接触しています。つまり肝臓が肥大することによって、横隔膜の
動きが大きく制限されてしまうのです。横隔膜の動きを取り戻すためには、
肥大した肝臓の炎症をしずめる必要があります。
 

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