図は準備中

ゴム膜を下に引くと内部の容積が拡がり、陰圧
を作り出すことができます。ビンの中の圧力が
外圧より下がるので風船に自然に空気が入り
ふくらみます。横隔膜や肋間筋の働きで胸郭が
拡がると胸郭の中の内圧が下がり、弾力性の大
きい肺は拡がり、気管から空気が入ります。逆
に胸郭がせばめられると、肺が圧縮され、肺の
空気が外へ出ていきます。

*胸郭とは胸椎、胸骨、肋骨の三者で構成されています。胸郭の内腔を胸腔といいます。

  

もうひとつの陰圧を作り出す方法をA図で説明します。
ビンの底部に薄いゴム膜をはりつけます。このゴム膜を下方に引くことでビン
の容積を拡げることができます。これにより、内部の空気圧を減圧することが
でき、@図の実験と同等の結果を得られます。ビンの内部の空気をすてなく
ても、ビンの内部の容積を広くすれば、陰圧を高めることができるのです。
私たちの呼吸運動をつかさどる肺は、このへーリングの原理模型にしめされ
ることと同じことを行なっています。ビンの底に張ったゴム膜が横隔膜に相当
し、それを下に引っ張ると、胸郭にあたるビンの中の内圧が外圧より下がり、
空気が流入して風船()がふくらみます。これが吸気にあたります。ゴム膜を
もとに戻すと、ビンの中の内圧が上昇するので風船は縮んで、空気は外へ流
出します。これが呼気の作用と同様になります。この機序が肺気腫をとらえ直
していく上で重要な視点となります。
 

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