2.日本伝承医学的に肺気腫をとらえ直す

肺気腫という病気が何故、命を守るための対応なのかを考察してみます。
すべての病気や症状には意味があり、最後まで命を守り、存続させるための
対応の姿であるという視点でみてみると、真の病気の姿が浮かびあがってき
ます。
肺胞同士がくっつき合い、巨大化して、空洞を形成していく肺気腫をとらえ直
すには、肺という組織全体の膨張、収縮のメカニズムを解説する必要があり
ます。
元来呼吸というメカニズムは息を吐きさえすれば、吸うという動作は必要あり
ません。息を吐けば、自然に吸えるしくみになっているのです。
水泳時のクロールの息つぎを考えてみればよくわかります。顔を水中に沈め
ているときに、鼻で空気を充分に吐き出し、息つぎをするときには顔を横に向
けて口を軽く開くだけでいいのです。クロールの息つぎがうまくできない人は、
吐くことよりも吸おうという意識が強いからです。吸おうとすればするほど体が
そり返り、水を吸い込んでしまい苦しくなります。
本来息は吐くだけで、吸う努力はいらないのです。それが肺の機能となります。

この原理をヘーリングの模型を使って説明してみます。
ビンにふたをし、AB2本のストローをさしこみます(@図)Aのストローか
ら息を吸うとBから空気が入り、中の風船がふくらみます(ビンの中の空気をス
トローで吸い込み外部にすてると、ビンの内部が陰圧になります)。ビンの中
は陰圧になればなるほど、空気が入ってきて風船はふくらんでいきます(陰圧
とは物体の内部の圧力が、外部より低い状態をいいます。例:真空状態は空
気中よりも陰圧となります)

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