ゲップには胃の内圧を除去する大事な役割がありますが、つかえ
て出なくなると胃部が膨張し、心臓、肺を突き上げ、呼吸困難に
おちいることがあります。逆流性食道炎は、胃が膨満し横隔膜を
突き上げ、心臓、肺が圧
迫されるのを防ぐために、噴門(胃の上
の口、幽門は胃の下の口)を開いて胃液を出し、胃の内圧を抜い
て心肺機能を守っている対応の姿でもあります。

ゲップがつかえたときにはあせらず、赤ちゃんのゲップを出す
ような要領で、背中から誰かにすぐたたいてもらうことが大事
です。誰もいないときには背を少しまるめて、自分でこぶしで
たたきます。

赤ちゃんはゲップがつかえて出ないと、泣いてミルクと一緒に
ゲップを吐き出し、気道を確保します。赤ちゃんは噴門部がま
だ未熟で、きちんと閉じていないため、ミルクをのんだまま寝
かせてしまうとミルクが気道に入ってしまうため、窒息してし
まいます。余分な空気はいち早くゲップを吐くことで抜いてあ
げなければなりません。

 逆流性食道炎は、この噴門部を赤ちゃんのようにゆるませて、
中からのガス、余計な空気を抜いて、内圧を下げている症状に
なります。胃の入り口である噴門をゆるませることで、胃の内
容物や消化液を逆流しやすくし、食道に炎症を起こさせ、体を
守ってくれている対応の姿といえます。

 現代医療ではこの逆流を悪い対応とみなし、これを放置して
おくと、がんになるという論理で薬や手術によって対処してし
まいます。しかし私たちの体は必要があって胃と食道の接合部
をゆるませ、逆流させているのであって、これを抑えてしまっ
たり、接合部の締まりを良くする手術をしてしまえば、必ず体
は次なる対応をせまられてきます。

逆流性食道炎を放っておくとがんになるのではなく、この症状
を薬や手術で阻止してしまうことによって、最終対応の姿であ
るがんに移行してしまうのです。 逆流性食道炎はけっして悪
い症状ではなく、命を守るための必要な対応になります。

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