逆流性食道炎

 心労や極度の精神的ストレスの持続は、肝臓や胃に内熱を生じ
させます。この異常な熱の発生により、食道の内管壁の粘膜の水
分質がとばされ、ねばねばした痰となり、内管壁にへばりついた
り、食道や気管をふさぎ、せまくしていきます。

逆流性食道炎は、塩酸を多く含む胃酸を食道に上げることにより、
管内にへばりついた汚れやつまりを溶かし、除去する役割を果た
しています。

 元来心肺機能が弱い場合が多く、粘液質の痰を自力でうまくき
ることができなくて、蓄積した痰が気道を大きくふさいでいきま
す。胸苦しさ、息苦しさから、せき、吐き気、頭痛、耳鳴り、め
まい等の様々な症状を併発させていきます。

また、体はせきによって肺を鼓舞させ、なんとか気道を確保しよ
うと働くため、胸部、また背部(心臓裏)の骨に、刺すような、拍
動性の痛みが生じてくる場合もあります。

 初期症状は胃かいよう、十二指腸潰瘍と似ていますが、これら
を下水管(下部)での症状ととるならば、逆流性食道炎は下水管の
つまりが上まで上昇し、吹き上がってきた末期に近い対応の姿と
みなしてもよいでしょう。これ以上、物を上から入れないように、
食事をしないように、という体からの危険信号でもあります。 

 胃かいようの段階では、なんとか小分けにして食べられていた
食事も、胃酸が上に逆流してくるこのような段階に入ると、ほと
んど受けつけなくなっていきます。気持ちが悪く、丸1〜2日間、
全く物を食べられない状態が続くこともあります。しかし、食事
をとらないことによって体は胃腸を休め、血液の循環、配分を取
り戻して修復しているので、無理して食事をとってはいけません。
また、潰瘍の段階ではゲップを自然に出せていたのが、逆流性食
道炎まで移行してくると、自力ではなかなか吐き出せなくなって
いきます。

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