多細胞生物・単細胞生物の命
  

  細菌からクジラまで、約 200万種類の多種多様な生物群ではあります
が、生命の最小単位が細胞であるという観点から分類すれば、単細胞生
物と多細胞生物という二種類に分類できます。ちなみにヒトは多細胞生
物で、その細胞数は約60兆〜70兆個 といわれています。
  多細胞生物の命(イノチ)は、70兆に及ぶ細胞を多方面に分化独立を
させ、機能を細分化することで存続しています。例えば、生きるために必
要な外界の情報を感知する感覚器官、すなわち目、耳、鼻、口(舌)皮膚
は、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚作用を持っています。またヒトを例に
すれば、命を存続させるために絶対必要条件であります息をすることを
呼吸器官に、食べることを消化器官に、動くことを運動器官に、排泄する
ことを泌尿器官に、眠ることを脳にといった具合に機能を分化させていま
す。これらは命を存続させるために欠くことのできない作用です。
  
 
 次に単細胞生物について考えてみましょう。単細胞生物は、その名の
通り、一個の細胞で生きています。一個であろうが70兆であろうが生き
る(命を存続する)ための作用は同じです。
ヒトで例にあげたように、ヒトの命を存続するための絶対必要条件、食、
息、動、眠、泄のすべてを単細胞生物は一個の細胞で行っているのです。
  細胞膜に包まれた一個の細胞は、目や耳といった感覚器官も、口や
肛門といった消化排泄器官も、手・足といった運動器官も、脳のような情
報処理器官もありません。あるものは内と外を仕切る膜と核様体と小器
官だけです。これらの核様体と小器官は、それぞれ特殊な機能を担って
いますが、細胞の命を存続するための大部分は“細胞膜”が行っている
と考えられるのです。
  

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