病は悪だけではない

  モノ・コトには「正・反」が存在するという自然界の原則に照らして病をみ
てみましょう。
 病気は悪いことと一方的に考えられていますが、正反対の視点から病は
悪いことではないと捉えてみますと、これは生命体が生きるための「対応」
「反応」を起こしている「姿」なのではないかという視点がみつかります。
  結論的にいえば、「病は悪ではない、生物が生きるための一つの対応
の姿である。」といえるのです。病を悪とするなら、生物はその受けた命を
全うしないで、「死」を早めようとしていることになります。
病気になって、早く死のうとしている姿に映ってきます。それはまさに一方
向からだけ病をみていることになります。自然界の法則から外れてしまい
ます。このことに気づいて欲しいのです。



日本伝承医学とは

  日本伝承医学の生命観・人体観・疾病観は現在の常識にはない考え方
ですが、けっして難解なものではなく、極めてあたりまえな考え方になりま
す。科学的であり、神秘的な要素は含みません。科学的ということは、モノ・
コトの「根拠」と「機序」を明らかにすることです。
 「病気」の本質を解明するためには、まず命の本質を明らかにする作業
が必要です。命の本質を考えるには、命に対して全面的な認識法を必要
とします。全面的認識とは、モノ・コトを幅広く長い目でみることです。
  命の本質とは種の保存と生存しようとする力であります。全ての生物は
生きようとプログラムされているのです。
 日本伝承医学はこの視点にたって病気を捉えなおした「イノチの物理」
に基づいた理論、技術であります。それはイノチを存続させるために、根
源的に作用するものは何だろうという発想から生まれたものです。

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