日本伝承医学
  
 

はじめに

  日本伝承医学とは、現存する各種医療(鍼灸、アンマ、マッサージ、指
圧、整体、カイロプラクティック等)のどの範疇にも入らない、独自の概念
でもって構築されています。
  それは、これまで誰も気づかなかったイノチ存続の「原理」に立脚して
理論、技術が構築されているからです。“原理”が解明できれば、技術は
単純で簡単で短時間にできるものです。
  故に、誰がやっても効果の出せる、技法を構築し得たのです。これをも
って初めて“家庭療法”として、実践できるものと考えています。ここが、各
種医療・漢方医学・アーユルヴェーダ医学と一線を画すところです。
  また日本伝承医学の生命観・人体観・疾病観は、病気の症状を“悪で
はなく、命を存続させるための対応”として捉えています。すべての症状
を、生きるための正への対応として捉えているところに、大きな特徴があ
ります。



生命のプログラム     

  命(イノチ)を持った私たち生き物は、一日も早くその命を閉じようとして
いるのではなく、いかに全うするかということが重要なテーマです。
細胞のDNAに組み込まれた情報には、いかに生き続けられるかという、
「生」のプログラムがされているのです。
  生物は、それぞれの環境に応じた形で生き抜くという方向で、人知を超
えた設計がされています。これは極めてあたりまえのことです。
例えば現存するゴキブリは、三億年という長い年月を越える環境の変化
に対応して、その種を守り通し、生き続けています。
 すべての生物が「生きるためにプログラムされている」 これは当然なさ
れている設計と考えられます。
  1970年代に細胞のアポトーシスという発見がありました。これは、DNA
にあらかじめプログラムされている細胞の自殺死です。死がプログラムさ
れているなら「生」へのプログラムはもっと多様に、精妙に設計されている
はずです。



次のページへ

目次へもどる