「がんを捉えなおす」シリーズは、病の本質を炎症(熱)として捉え、恒
動物である私たちの人体が、36度5分という体温を恒常的に維持していく
ために、体内に発生した異常な熱をどうすてていくかにスポットをあてて解
説していきます。
 「病気とは熱との闘い」と定義し、病とは何か、症状とは何かを例をあげ
ながら説明しています。
 命を、個体である私たちの身体の中だけに限定せず、命の範囲を命あ
るものとして、地球・国家・社会・家族という階層的に生きている状態とし
て幅広く捉えていきます。「生きている状態」という幅広い把握方法は、命
の本質を探る上で、とてもたいせつな思考法です。生命体という一個体の
中からの探究では見えなかった、命を存続させている法則が見つけ出せ
るからです。


 「がんを捉えなおす」シリーズは大きな柱として、熱をすてる五段階の対
応システムを中心に展開していきます。
 人体は、体内の処分しきれない内熱を次々に体外に排出しなければ、
恒常体温を維持できません。そのためにまずとる対応は、第一段階とし
て、皮膚病(湿疹、アトピー性皮膚炎、各種皮膚病、水虫等)として内熱と
毒素をすてていくことです。しかし、その皮膚病を悪い症状として把握し、
止める処置をほどこしていくと、身体は次の手段で熱と毒素を体外にすて
る必要性にせまられてきます。

 第二段階としての対応は、体表に腫れ物(オデキ)を作っていきます。そ
の他に
風邪の熱を解熱剤で急激に下げた場合、帯状疱疹、口唇にでき
るヘルペス等も同様の対応と考えても良いでしょう。第一段階同様、これ
も悪い症状としておさえこむ処置に終始してしまうと、次の安全装置を作
動させることになります。
 第三段階としては、体内に起こった炎症に対する対応になります。これ
体内の水系成分を使った水腫形成です。脳に起これば脳水腫、胸に起こ
れば胸水腫、腹におこれば腹水腫、これらが代表例です。
 第四段階としては、体内に腫瘍を形成していきます。腫瘍とは体内にで
きるオデキのことです。女性の子宮筋腫、男性の大腸ポリープ等が代表
的なものです。生き延びようとプログラムされている人体は、命に支障の
ない個所、及び体外に熱と毒素をすてやすい、子宮や大腸といった排泄
機能個所にまず腫瘍を作っていくのです。
 この段階においても、腫瘍を悪い反応とみなし、手術で取り去ったり、
炎症や化膿を薬でおさえる処置を行った場合、次々とあらたな個所に腫
瘍を作っていくことは、命を守る対応として必然の結果なのです。そして、
命を守る最終対応として、第五段階にがんを発生させていくのです。


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