カルシウムが情報、エネルギーとして入り込むことにより、その機能を果
たすことができるのです。この一万対一の関係は、前述してありますよう
に、骨と血液との間においても正確に維持されなくてはなりません。
血液中のカルシウム濃度は骨という総元締めとの間に常に一定に保たれ
るように、“骨”がCaを溶出したり、吸着したりという作用を担っています。
骨と血液との間のCa濃度がくずれるということは、詳述してあります血液
と細胞間のCa濃度に異常を発生させることになるのは明白です。骨と細
胞とのCa濃度差は実に一億対一の関係です。
これは、まさに超微量の世界です。これほどの微調整を成し遂げているの
が生命体の世界といえるのではないでしょうか。
生きるとは、命とは「内、外の環境変化に時々刻々、変化対応する姿」
と捉えていますが、まさに、生命現象の神秘としかいいようのない事実であ
ります。
生命の最小単位であります細胞を活かすも殺すもCa濃度の総元締めであ
ります“骨”の物質・情報・エネルギーのしくみが正常に働くかどうかが最重
要であったのです。
骨の中には、骨髄という海があり、その中には造血幹細胞が収まってい
ます。すべての細胞の母体であり、生命の発生に関わる遺伝子をはじめ
免疫細胞やホルモン作り出す、まさに海(産み)です。
そのために骨によって保護されているのであり、また巨大なカルシウムの
貯蔵庫である骨のすぐ近くにあって、いつでも好きなだけカルシウムを利
用できるという理由からここに存在しているのです。
まさに“骨”は生命活動の中心をなすカルシウムの貯蔵庫であり、物質・
情報・エネルギーの集積場所であり、発信基地でもあったのです。
故に、この“骨”の機能を高めることが、人体のカルシウム濃度の正常化
において一番、肝要な問題です。カルシウムの総元締めである骨の機能
を根本的に高めないかぎり、枝葉末節的な副甲状腺ホルモン(カルシウム
滲出ホルモン)やカルシトニン(過剰カルシウム吸収ホルモン)活性型ビタミ
ンD等のカルシウム調整ホルモンを服用することは、一時的な症状の改善
をみても、ますます自力による調整作用を失い、逆に心臓疾患(狭心症・心
筋梗塞)、脳循環障害(脳梗塞・脳軟化等) 腎臓病への移行することにな
りかねないのです。これは、血液中のカルシウム濃度の調節にだけ目を
向け、その総元締めの存在を忘れているからに他なりません。