病気を全体との関連の中でとらえる


 現代医学においては、外部から侵入した細菌やウィルスを、病気の
発生原因としてとらえています。例えばC型肝炎ならば、C型肝炎ウィ
ルスだけが肝炎を引き起こしていると考えられています。そして、肝
炎なら肝臓だけが悪いという短絡的な発想だけで病気をみています。
しかし、このような部分的な病気のとらえ方では、肝炎は完治しませ
ん。事実、一生薬を飲み続けるということが現実に行われています。
これは単に検査の数値の帳尻を合わせているだけで、生涯この病気か
ら解放されることがないというのが実状になっています。
 病気というものを局所的に部分的にまた「原因ー結果」という短絡
的な発想でとらえるのではなく、もっと多面的で高次元なとらえ方で
把握していかなければ真の原因は見えてきません。多面的で高次元と
いうことは、病気の原因を細菌、ウィルスだけに求めるのではなく、
精神的な要素を含めて、時間と環境の経過の中で見ていかなくてはな
らないのです。
 病気というものは各人の遺伝的体質が6〜7割ベースとなり、そこに
後天的な生活習慣の乱れ、精神状態がプラスされ、今現在の症状、病
気というものを発生させています。つまり各々の体質を考慮し、時間
の経過の中で病気をとらえ直す必要があるのです。
 C型肝炎を例に、この考え方をあてはめてみまと、まず遺伝的体質
として、肝臓、胆のう機能が弱いというものをベースに持っています。
そして、長い間の精神的ストレスの持続により全身的な免疫力の低下
を引き起こし、その状態でC型肝炎という病を発病させていきます。
何もベースのない所でいきなりC型肝炎になるのではないのです。
 胃潰瘍を例にあげてみても同じことがいえます。胃潰瘍という病気
を漢方医学的に考察すれば、胃潰瘍は元々心臓と肺の機能が弱い遺伝
的体質をもっている方に起こりやすい病気になります。心臓機能が弱
いということは、心臓というポンプ機能が弱いということであり、肺
が弱いということは、酸素を血液に取り込む機能が弱いということを
意味しています。

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