場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)  selective mutism 

緘黙・・人からなんと言われようとしゃべることはできないという顔をして
    黙り続ける事(新明解国語辞典~)

APA米国精神医学会による『精神障害の診断と統計手引き』(2013年改訂版)
による場面緘黙症は以下の様に定義されています。「他の状況では話せても
特定の社会的状況において話す事が一貫してできない状態」

また、1990年、WHO世界保健機関が設定した「疾病及び関連保健問題の国際
統計分類」の第10版第5章「精神及び行動の障害」では、場面緘黙症は下記の
疾病に分類されています。

 「小児(児童)期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の問題、または
  特異的に発症する社会的機能の障害」

 ※近年では「選択制緘黙症」といわれることが多い 

幼稚園や保育園、学校や職場等、特定の場所や状況におかれた時に、言葉が
出なくなったり動けなくなったりする症状を言います。学校では給食が食べら
れなかったり、自分でトイレに行けなくなることもあります。

他人や緊張感のある場所、自分が嫌いな場所、不安感、リラックスできない
場所や人間関係のある場面で発症するのが特徴です。家族の前や家庭内でも
みられることもあります。

 5歳位から起こると言われますが、幼少期では、おとなしい子、人見知り
する子、あがり症、恥ずかしがりや等に思われやすい為、小学校の34年生位
から、家族や周囲から認識され始めます。

 引っ込み思案、意思表示できない、協調性がない等、性格的なものとしても
見られやすく、周囲や親族、友人、学校の先生方からは理解されにくく、指摘
されたり注意されてしまうので、常に強い不安感や恐怖心にさらされてしまい、
ますます周りとの関係を遮断するようになります。

 子どもの頃は発達障害、適応障害等とも混合されがちです。いじめ、不登校、
引きこもり等の引き金にもなります。職場や社会に出ると、同僚や上司との
コミュニケーションがうまくとれないことから、何度も転職を繰り返したり、
出勤前に体が動かなくなって起きられないこともあります。
『精神障害の診断と統計手引き』では不安症の分類に入るため、うつ病の薬や
安定剤を処方され、却って脳内ホルモンのバランスを崩してしまい、症状を
悪化させてしまうケースもあります。自閉スペクトラム症、広汎性発達障害、
アスペルガー症候群、レット症候群等の診断を受けやすくなります。
場面緘黙症は病院でも認知度が低いことから、誤った診断や処方、処置を受け
てしまう事があります。

【日本伝承医学による心療】

日本伝承医学では、心身に生じる症状は悪いことではなく、必要な対応とみて
いきます。身体的、精神的な症状は、その患部、症状だけをみるのでなはく、
体質、性質、気質、環境、対人関係等からの考察を行ない、カウンセリングに
あたります。

遺伝的に心肺機能が弱い場合は、脳が虚血になりやすいため、精神的な不安
や様々な症状を発症しやすくなります。日本伝承医学の治療では手技療法に
より心肺機能、肝臓機能を高め、脳内の虚血、脳の炎症を除去し、良い脳内物質
を産出できるようにします。骨髄機能を発現し、細胞新生力、造血力を高める
ことができるので、遮断された神経回路を、あらたな神経細胞で補えるように
修復していきます。自律神経調整法と後頭骨擦過法では、自律神経のバランス
を整え、交感神経の緊張をとっていきます。  

家庭療法としては『局所冷却法』を指導し、就寝時の氷枕での頭部冷却と
肝臓冷却を必修とします。頭部冷却では脳内温度が上がらない様にします。
脳温が上がると良い脳内物質が生成されにくくなります。また肝臓冷却により、
肝臓の炎症を除去し、脳内の虚血を回避し、神経伝達を正常にします。
脳は血液で養われるため、肝臓が充血し脳が虚血になると神経細胞に十分な
血液が行きわたらなくなり様々な障害を引き起こすからです。
まず最初は、交感神経の緊張をとり去り、不安感や緊張感を軽減し、特定の
場面におかれても、自然に少しずつ言葉が出てくることを目標としていきます。

                      場面緘黙症2へつづく