薬剤アレルギー

 私たちの体には、自身の細胞と外から侵入した異物とを区別
し、異物を敵とみなし排除しようとする免疫機能が天然に備わ
っています。この免疫機能が過度に反応することで引き起こさ
れる症状をアレルギーと言います。通常は体に害を与えない物
(食物、薬物、花粉、ほこり等)に対して、過剰な免疫反応が
引き起こされてしまうのです。
 アレルギーの中でも、薬物によって生じるアレルギーを薬剤
アレルギー(薬物アレルギー)と言います。昨今、「薬の副作用」
という言い方から「薬剤アレルギー」と呼ばれるようになりま
した。原因となる物質をアレルゲンと言い、病気や症状を治す
はずの薬がアレルゲンと化してしまう場合に発症します。
 薬剤アレルギーを起こしやすいものとして、抗生物質、ペニ
シリン系やセフェム系の薬、抗炎症薬、抗菌薬、抗がん剤、鎮
痛剤、解熱剤、ホルモン剤、酵素製剤、造影剤、筋弛緩剤、
ワクチン接種等が挙げられます。
 アレルギー反応はその発生メカニズムによってタイプがⅠ型
~Ⅴ型の5つに分類され、クームス(Coombs)分類と言います。
1963年にCoombsGellが提唱した4つの分類法が現在でも用い
られています。Ⅰ~Ⅲ型は液性免疫(抗体・免疫グロブリン)
関与し、Ⅳ型のみ細胞性免疫が関与します。薬剤はいずれの
アレルギーをも引き起こす可能性があるという事が判明してき
ました。

【Ⅰ型アレルギー】※同じ病名でも違う型にも属する場合があります
 Ⅰ型は即時型、アナフィラキシー型と呼ばれるもので、Bリン
パ球によって分泌される抗体lgEが関与することで起こります。
薬の投与から数分から数十分の短時間で発症します。血圧低下、
意識障害、失神、皮膚のかゆみや赤み、アトピー性皮膚炎、
アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、じんま疹、呼吸困難、
アナフィラキシーショック、発作、動悸、めまい、耳鳴り、気
管支ぜんそく、尿細管間質性腎炎、下痢、嘔吐、腹痛、不安感
等の症状が挙げられます。
 天然ゴム製品に含まれるラテックスタンパク質によるラテッ
クスアレルギーもⅠ型に分類されます。皮膚、粘膜のかゆみか
ら発赤やじんま疹になり、呼吸器症状やアナフィラキシーショ
ックを呈することがあります。

【Ⅱ型アレルギー】
 細胞障害型、細胞融解型と呼ばれます。自身の細胞に外部か
ら入ってきた薬物が結合したり、輸血中に免疫が異常に活性化
してしまうことで、細胞が損傷されます。主に赤血球や白血球、
血小板等の血液中の血球が障害されるため、重篤な症状になる
場合があります。血液型不適合輸血によって生じる反応と同様
になります。意識障害、赤血球が破壊される自己免疫性溶血性
貧血、悪性貧血、リウマチ熱、グッドパスチャー症候群、胆石
症、血小板減少症、顆粒球減少症、急性白血病、突発性血小板
減少症、紫斑病、重症筋無力症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)
の症例が挙げられます。

【Ⅲ型アレルギー】
 薬剤とその抗体が結合した免疫複合体が組織に沈着すること
で組織が損傷されます。免疫複合体型、Arthus(アルサス)型と
も言われ、可溶性抗原(体液中に溶けている抗原)lgG(免疫グ
ロブリン)またはlgM抗体との結合物である免疫複合体によって
生じる組織障害になります。血清病、糸球体腎炎、関節痛、
関節性リウマチ、リウマチ性肺炎、過敏性肺臓炎、間質性肺炎、
多発性動脈炎、全身性エリテマトーデス、尿細管間質性腎炎、
ループス腎炎、腎不全、アレルギー性血管炎、シェーグレン症
候群等の症例が挙げられます。

【Ⅳ型アレルギー】
 遅延型、アナフィラキシー型、細胞性免疫型、ツベルクリン
型とも呼ばれ、細胞性免疫(T細胞)が関与します。抗原(生体に
免疫応答を引き起こす物質)を体内にとり込んでから半日から
数日を経て発症します。原因となる薬剤が投与されるとT細胞
に刺激が伝えられサイトカインが放出されることで細胞が損傷
されます。
 サイトカインとは炎症の重要な調整因子のことで、細胞から
分泌される低分子のタンパク質の総称になります。この炎症性
サイトカインが異常増殖してしまうと組織球が活性化し血球を
貪食(どんしょく)する血球貪食症候群に至る場合があります。
肝機能障害、薬疹、アレルギー性接触皮膚炎、アレルギー性脳
炎、過敏性肺臓炎、間質性肺炎、薬剤性肺炎、尿細管間質性腎
炎、接触性皮膚炎、結核、結核性空洞、類上皮細胞性肉芽腫、
シェーグレン症候群、ギランバレー症候群、移植片対宿主病
(GVHD)
等が挙げられます。

【Ⅴ型アレルギー】
 Ⅴ型は近年提唱された概念で抗レセプター型とも呼ばれます。
細胞表面上のホルモン等に対するレセプター
(受容体)に抗レセ
プター抗体が結合することによって引き起こされる反応になり
ます。基本的な機序はⅡ型と同様になりますが刺激性という点
が異なります。バセドウ病、重症筋無力症、甲状腺機能低下症、
高血糖、低血糖、アトピー性皮膚炎等が挙げられます。

【薬と薬の相互作用】
 皮膚疾患の薬を常用している方が、抗がん剤を併用したこと
で血液障害を発症した症例、気管支ぜんそくで薬を常用してい
る方が、インフルエンザになり薬剤を投与したために、薬と薬
の相互作用により血液組織が破壊された症例等、薬剤は組み合
わせにより効果が相殺されるどころか、生命に危険な場合があ
ります。漢方薬も同様で、麻黄湯や葛根湯を併用してしまうこ
とで、麻黄に含有される成分が血液濃度を必要以上に高め有害
物質と化し、血液組織を破壊してしまうことがあります。
 このように薬は一緒に服用してはいけない組み合わせがある
ので、数種類もの薬を服用している場合は充分な注意が必要に
なります。異なる病院を受診する場合は、今服用している薬を
担当医に必ず知らせるようにします。
 また相互作用は薬剤と栄養補助食品(栄養剤)との組み合わせ
によっても発症することがあります。薬を処方する際には、
栄養剤等の補助食品(錠剤やドリンク剤)の服用があるかないか
の十分な問診が要されます。
 本来私たちの体には自己治癒力、自然治癒力というものが備
わっています。薬物等の化学物質は一時的に症状を封じ込めま
すが、自己治癒力(自身の体力で回復する力)を大きく低下させ
てしまうことにもなりかねません。昨今薬の副作用やワクチン
の副反応により二次的病状を発症するケースがあとをたちませ
ん。薬には薬剤アレルギー(副作用、副反応)を引き起こす可能
性があるということを認識しなければなりません。

【日本伝承医学の症例】
 当院は子宮頸がんのワクチン、新型コロナワクチン、抗がん
剤治療、ホルモン剤治療等の副作用や副反応に悩まされている
患者さんが全国から多く来られています。日本伝承医学の治療
は、骨に圧や振動を加え電気を発生させることで骨髄機能を発
現することができるので、根本から自身の免疫力と生命力を上
げていくことができます。免疫力とは造血力を示し、生命力は
細胞新生力を示します。
 即ち日本伝承医学は、造血力と細胞新生力を活性化し本来備
わっている体の力(自己治癒力)を最大限に導くことができる
治療法になります。故に副作用や副反応により低下した免疫力
・生命力を確実に高めていくことができるのです。