病気の本質
人類はことばをもち、人間脳という頭で考える脳を授かったために、自然
良能への生命観を見失ってしまいました。自分の体にとってほんとうは何を
すれば良いのか、判断できなくなってしまったのです。
自然界の動物たちはあるがままの姿で生き、自然が与えた寿命をさいごまで
まっとうして死んでいきます。人間だけがことばという手段をもち、人間脳
を駆使して生きています。しかし私たちはことばと、この頭脳のおかげで、
感情を表現できるようになりました。でもそれは、社会と人間関係の中で生
きていく上で、様々な精神的ストレスを発生させることになったのです。
「病は気から」といわれるように、病気や症状の根底には、必ず心労や精神
的ストレスが知らず知らずのうちに蓄積しています。心労の持続はまず、肝
臓と脳に充血と熱を発生させていきます。肝臓の充血、炎症が起こること、
全身の血液の循環・配分・質が大きく乱れ、胆のうに影響していきます。肝
機能の低下は胆のう機能をも低下させ、胆汁の分泌異常を引き起こし、様々
な病気の要因となっていきます。
つまり単に内臓の機能障害ととらえていた症状のすべての根底には、精神
的ストレスや心労が存在していたのです。人は人間社会の中で人と関わって
生きていく以上、悩み、苦しみ、迷いからのがれることはできません。だか
らこそ少しでもストレスをためないように、軽減していうように努めること
が、症状を改善していくためには何よりも大切になります。
私たち人間を含め、生物には自分自身の内に、最後まで命を守ろうとする
ために働く自然に備わった力、生命力、自然治癒力が存在しています。
体に生じる様々な症状や病気を悪の対応ではなく、命を守るための正への対
応の姿として受け止め、自らに内在している自然の力を最大限に生かして、
与えられた寿命をまっとうして頂きたいと思います。