日本伝承医学の子宮内膜症の治療

 子宮は女性の骨盤内にある臓器で、上部の袋状の子宮体部(しきゅ
うたいぶ)と、子宮の入り口にあたる子宮頸部(しきゅうけいぶ)に分けら
れます。
子宮内膜症は、本来子宮内にしか存在しないはずの子宮内膜や子宮
内膜様の組織が、子宮以外の場所(卵巣、ダグラス窩、S字結腸、膣、
外陰部、膀胱、へそ等)にできる病気になります。この子宮以外の場所
にできた子宮内膜にも本来の子宮の月経周期と同じような変化が起
こるため、月経期になると子宮以外の場所にできた子宮内膜も剥離し
出血します。症状は多岐に渡りますが、転移した場所からの剥離と出
血のため、その部位に強い痛みが生じます。下腹部痛、腰痛、排泄時
の痛み、排卵痛、性交時痛、膀胱炎性の痛み等を伴う場合もあります。
頭痛、情緒不安、睡眠障害等を発症することもあります。

【過労、心労、精神的ストレスとの関連】
 女性ホルモンは脳から分泌されるホルモンによって調整されていま
す。脳の視床下部から性腺刺激ホルモンが放出され、脳下垂体を刺
激し、下垂体から性腺刺激ホルモンである卵胞刺激ホルモンと黄体
形成ホルモンが分泌されます。
 このふたつのホルモンの働きで卵巣から女性ホルモンが分泌されま
す。ところが心労やストレス等で脳に炎症が起きると脳下垂体が熱を
帯び、性腺刺激ホルモンが正常に分泌されなくなります。子宮に現わ
れる症状は脳の炎症によるホルモンバランスの乱れが背景に存在し
ているのです。長期に渡る水の摂取不足も発症させる要因となります
ので、日課としてこまめに水を飲む習慣をつけていきます。
 人間の脳は最も熱に弱いため、口耳鼻等のいくつもの穴があいてい
て熱がこもらないようになっています。日本伝承医学が推奨する家庭
療法としての頭部冷却法は、就寝時に氷枕(氷を入れた水枕)で後頭
部を冷却することで、脳内の炎症()を除去し、ホルモンのバランス
を整え子宮を良い状態にしていきます。またストレスによる肝臓の充血
を緩和し、精神状態を安定させ、良い脳内物質を生成するためには
肝臓の局所冷却法も大事です。
 子宮内膜症は2週間に一度の手技療法による治療で、まず血液の
循環・配分・質を整え、免疫力(造血力)と生命力(細胞新生力)を高め
て子宮の状態を改善します。骨にゆりふりたたきの圧や振動を加える
ことで骨髄機能を発現させます。骨の特性である「圧電作用」と「骨伝
導」を用いた治療法により、免疫力と生命力を高め、痛みや苦痛を緩
和していきます。受診時には家庭療法の指導も行ないます。
     参考文献:有本政治著  『日本伝承学婦人科編
 
               「子宮内膜症の本質