日本伝承医学の技法の独自性-正座位からの脊椎の調整法
 

日本伝承医学の脊椎の調整法の概念は、他の整体やカイロプラクティック法等
とは異なります。脊椎の調整法は単なる椎骨のゆがみの矯正ではなく、失った
可動性の回復と電気発生と電気レベルが低下した椎骨に対して電気を発生をさせ
て、電気レベルを元に戻し、電気の流れと血流の循環と配分を回復させること
を目的としています。東洋医学的に表現すれば、虚して力のない個所に気血
(
電気・磁気等)を集める技法と言えます。受者に正座位をとらせ、両手を後頭部
で組ませる姿形の利点は以下になります。

  受者が正座位をとることで脊椎骨の個々の関節に重力圧が加わり、
   関節内循環が高まり、一番骨の動きがスムーズになり押圧が
   かけやすくなります。

  受者が後頭部で両手を組み上体を少し前傾させることで、首から背中
   の大部分をおおう僧帽筋に筋張力がかかり、さらに術者が受者の肘を
   急速に引くことで筋肉に電気が発生する原理を応用します。

  術者の片膝の膝頭を目的の椎骨に軽くあて、グースーグッの間合いで
   受者の肘を引くことで、骨の深部まで押圧とヒビキがかかり、圧電
   作用が大きく作動します。グースーグッの間合いは日本伝承医学の
   特徴のひとつになります。

  椎骨に対する押圧の方向が、胸椎骨(1番から12番まで)の不随意運動
   の動き(前後のスライドの動き)となり、失われた椎骨の動きを一番
   合理的に回復できます。

※日本伝承医学における脊椎骨への調整法の原理は上記となります。
 たいへんソフトな操法であり、高齢者から幼児まで安全に用いることができます。
 技術の詳細は、『日本伝承医学実技解説書』の「正座位での膝と使ったひびき
 操法」の項を参照。

【胸椎の矯正法】

胸椎の不随運動は前後のスライドの動きとなります。これを達成させるために
術者の膝部を使っての矯正法となります。                 
≪操法≫術者は重力圧が胸椎に自然にかかる正座位をとり、両手を後頭で組んだ
姿勢を作ります。術者は片膝立ての正座位をとり、膝前面の脛骨粗面の内側の凹み
に受者の胸椎棘突起をあてます。受者の背中を丸め、筋肉と椎骨の張力を出し、
術者の両手で受者の両肘部を把持します。グースーグッの間合いで、目的側の肘部
を手前に引くと同時に、術者の膝で胸椎に前後のスライドの動きを作ります。
≪効果≫胸椎の不随意な動きを回復させることで、胸椎の正常な動きをとり戻す
と同時に、目的の椎骨にヒビキを与え電気を発生させる技法になります。

()骨盤(腸骨)の上は腰椎4番、肩甲骨下縁を結んだ所は胸椎7番、肘の先端を
  結んだ所は胸椎11番になります。 
≪留意点≫①目的の椎骨と肋骨の形と角度のイメージを明確にする事
     ②自分の膝の接触点を正確に把持する事
     ③相手の身体を包むように柔らかく保持しグースーグッの間合い用いる
     ④はじめのグーは把持している手を60%位の力で引き付け、間髪を
      入れずスーで脱力し、最後のグッで80%の力で当てている膝を軽く
      突きこむと同時に把持している手を引く。
     ⑤相手が窮屈でなく安心して身を任せられるように優しさをもって
      とり組む。
     ⑥接触している膝と把持している手を通して椎骨と肋骨の可動性が
      わかるようになる事。

【頸椎の矯正法】

 頸椎の不随運動は左右のスライド(横のスライド)の動きとなります。これを
 達成するためには、術者の母指腹を使用しての矯正法が最適な方法となります。

≪操法≫受者は正座位をとります。これにより頸椎に重力圧(面圧)が自然に
かかります。術者は後方よりつま先立ち座位をとり、一方の手の母指腹を目的の
椎骨の関節突起部にあて、もう一方の手で受者の側頭部を把持します。把持した
手で、受者の首を側方に倒し、受者の顔を左斜め上方に向かせ、これ以上は
いかないという最密位をとり、グースーグッの間合いから、頸椎にあてた術者の
母指で左右方向にスライドの動きを作るように押圧します。

※頸椎の調整法には、正座位の受者の後方から受者の頭頂部を術者の両手小指部
 で交互に叩打圧を加えて調整する頭頂叩打法もあります(『日本伝承医学実技
 解説書』の「頭頂叩打法」参照)

【腰椎の矯正法】

 腰椎の不随運動は回旋(ねじれ)の動きとなります。これを達成するには側臥位
からの腰椎の捻転法が最適な方法となります。              
≪操法≫受者は一番楽な側臥位をとります。下側の足は伸ばします。上側になる
下肢の膝を屈曲し、下側の膝あたりに上の下肢の足首あたりがくるような姿勢を
とります。グースーグッのグッの間合いで腰椎の捻転法を行ないます。 
≪効果≫腰椎の不随運動を回復させることで、腰椎の正常な動きが回復できます。
胸腰椎部の身体のねじれが除去できると同時に、目的の椎骨にヒビキを与え、
電気を発生させる技法となります。 

※日本伝承医学の学技を学んでいない場合は、効果が現われないだけではなく
 受者に危険が伴う場合がありますので、文章を読んだだけで実技を行使する
 ことが無い様に御願いします。