星状神経節

 

星状神経節(せいじょうしんけいせつ)とは首の付け根(第一胸椎上、
鎖骨下)にある交感神経が密集している神経部位のことで、全身に分布
する交感神経の働きと関与している神経節になります。交感神経には
心臓の拍動を助け(心拍数を高め)、血管を収縮し血圧を高める(血液
を押し出す力を高める)働きがあります(緊張)。副交感神経は反対の
作用(リラックス)を担い、この両者を自律神経と呼び、拮抗的に働く
ようになっています。

 身体にねじれのゆがみが生じると、下部構造にゆがみが起こりその
ゆがみを調整するために首を前方に突出させ頸椎に位置異常を起こし
ます。(有本政治著:人体積木理論バナナ理論参照)。頸椎の位置異常
は鎖骨下の間隙(かんげき)を狭め、星状神経節を圧迫し、交感神経の
過緊張を引き起こします。鎖骨下の間隙が狭まると交感神経が過度に
緊張してしまい、鎖骨下症候群(胸郭出口症候群)、筋緊張性頭痛や
頭部神経痛、首肩上腕痛、腰痛、下肢痛、しびれ、麻痺、痛み等、
全身に様々な症状を発症させていきます。星状神経節は頭頸部から腰
方向迄脊柱の左右に走行し全身の臓器に分布する交感神経に携わって
いるからです。

 身体のねじれのゆがみは、右ねじれと左ねじれに分けられます。
心臓機能が低下すると体は心臓のポンプ作用を促し血液の循環を守る
ため、左肩を下げて右ねじれを起こします。肝臓の充血(血液の配分
の乱れ)、胆のうの腫れ(胆汁の分泌不足による血液の質の低下)が起き
ると、体は右肩を下げて左ねじれを起こします。つまり身体のねじれ
のゆがみは、単に筋肉や骨格だけの問題ではなく、内臓機能と血液の
循環・配分・質が大きく関与しているのです。故にその部位だけに
星状神経ブロック注射をしても内臓機能から整えていかなければ、身体
のねじれのゆがみ、星状神経節の働きの根本的解決にはなりません。

『氷山の一角』という言葉があるように、体に生じる症状は、水面下
の見えない部分を無視して目に映る部位だけをみていては、本質は
見抜けないのです。

()星状神経節ブロック注射とは

交感神経をブロックすることで筋肉の緊張をとり血流を改善し、痛みを生じに
くい環境をつくっていきます。交感神経を眠らせ副交感神経を優位にする注射
になります。

日本伝承医学ではまず三指半操法により体のねじれのゆがみをとりま
す。心臓調整法、肝胆の叩打法により心臓、肝臓、胆のう機能を整え、
頸椎調整法、鎖骨下面圧法、自律神経調整法等の個別操法を用い、
鎖骨下の間隙を開き星状神経節の働きを正常に復します。星状神経節
の働きが戻れば、交感神経の過緊張がとれて脳内の血流が改善し、
視床下部の機能が正常になり、自律神経のバランスが整っていきます。

心臓が微弱な電気によって規則正しい脈拍を保っているように、神経
も電気の流れによって情報を全身に伝播させています。神経細胞同士
は電気信号によって情報伝達を行なっているのです。神経結合部(シナ
プス)には多くの神経伝達物質が存在し、電気信号により放出されて
います。一部分の神経が遮断されても、神経には可塑性(かそせい)
いう性質があり、情報によりあらたな神経回路を造り機能回復を図る
習性があります。電気信号による『情報』というものが生命の存続に
実に重要な役割を果たしているのです。

日本伝承医学は手技療法で骨にゆり・ふり・たたきの振動(ひびき)
圧を加え微弱な電気を発生させ、骨伝導を介して骨髄機能を発現させ
ることで、造血と細胞新生を促し、免疫力と生命力を高めることを
目的としています。生命の仕組みにとって不可欠な『物質・エネルギー・
情報』の三態に働きかけることができるのは日本に古来より伝承され
続けてきた日本伝承医学だけになります。

※生命の仕組み『物質・エネルギー・情報』の三態については以下の項に詳細
が記されています。

()有本政治著:『日本伝承医学』  命の物理(生命の仕組み/人体は電気
  で動いている)