日本独自の体の使い方と力の出し方
日本伝承医学は世界で最も骨を大切にする民族性に根ざして、
人体の骨に着目し、骨の特性である「圧電作用」と「骨伝導」を
使用して骨髄機能を発現させ、体内の血液の「循環・配分・質」
の乱れを正す事で病気や症状を治す治療法になります。
別名「形の医学」と呼ばれ、古代日本人が骨と関節の形に着目
し、施術の際に仰臥位で手や足を開いたり、関節の形や手指、足
指の形をある形に作る事で、体の「気(電気、磁気等)」の流れ
を変え、血液の循環、配分、質を整えることで、病気や症状治し
に応用する技法となります。
形の医学である一例を挙げてみます。胃の病気や症状をとる操
法として、患者は仰臥位をとり、患者の右足の親指だけを背屈さ
せ、術者の右手で把持し患者の下肢全体を下方の牽引した形を
1~3分位保持し、呼吸が変わるまで行なう操法があります。
関節の形を作る操作により、胃に血液を集め胃の症状を改善しま
す。この胃の操法はあらゆる胃の疾患に著効を示します。
体の姿勢や関節をある形にとり、目的の関節、筋肉、内臓を強
化し、血液や神経伝達の流れを変え、病気や症状を治す医術法が、
日本には古来より伝承されてきたのです。
「日本独自の体の使い方と力の出し方とは」
関節の形を活用した、体の使い方や力の出し方を研究開発でき
たのは、骨を大事にする古代日本民族だけになります。骨と骨の
組み合わせとなる「関節の形」の研究から発見された種々の力を
出す方法は、他国では例を見ない視点で構成されています。外国
人と比べて体格的に劣勢な人は、筋力を鍛える手段だけではなく、
別の視点に立った身体運動法を習得し身につけていったのです。
例えばサッカーにおいて、相手との体接触時の身のこなしや力
の出し方に応用すれば、単なるパワー勝負ではなく、効率的に合
理的に相手に勝つ事が可能になります。
古来より伝承されてきた日本独自の体の使い方には「合掌(が
っしょう)」「頭持ち(ずもち・かしらもち)」「腰すえ)」「肩
入れ」「手刀(てがたな)」「はずの構え」「いなし」等の様々
な技法があります。以下個別に解説していきます。
「合掌(がっしょう)の意味」
胸の前で両手を合わせる合掌から説明します。私達が祈りの心
を表わす時、胸の前で肘を曲げ、両手を合わせる形(合掌)を作り
ます。この形は民族、宗教、文化の違いを超えて多くの世界で祈
りの形として使われています。この形を作ることで、脳と胸部
(心臓と肺)にループ状の循環回路が形成され、心が落ち着き、
穏やかな気もちになり、意識が集中できるのです。血液の循環が
良くなり心臓の拍動が安定し、脳への血液供給が無理なく行なわ
れます。
またこの形は、上肢の各関節が一番くつろぐ姿勢になります。
胸の前で両手を合わせ、肘を90度位に曲げ、肘の位置が胸の前握
り拳一個分開けた形をとると、両肩が前下方に自然に入り、肩関
節、肘関節、手関節に筋緊張が起きず、胸の屈筋がゆるまり、
くつろぐ上肢の形となります。これにより、心臓と肺を内包する
胸部もくつろぎ、心臓の拍動、肺の呼吸作用が安定します。臓器
は緊張し固くなると機能低下します。胸部がくつろぎ柔らかくな
ることで横隔膜の動きが正常になり、心肺機能が整い呼吸がらく
にできます。合掌という形は、脳への血液供給を安定させ脳内循
環を良くし、心肺機能を高める姿勢になるのです。
合掌の形は力を出す原理としての基本の形となります。合掌の
形をとると肩関節が前下方(肩入れの位置)にきて、肘が胸の前
にきて、手関節の形が「ハズ」になります。これは腕力と体全体
の力が最も効率よく出せる形となります。後述する肩入れ、手刀、
ハズの形による力の出し方の形は合掌からの変形となります。
以下個別に解説していきます。
「頭持ちとは、どういう体の使い方か」
頭持ち(ずもち・かしらもち)という表現は、全体の姿勢の美
しさと、均整がとれて体軸がしっかりしている姿勢を表現する
ときに用います。頭が体幹の上にしっかりのっている姿勢であり、
どの方向へも自由に動ける体勢を言います。これは精神状態をも
表わし、精神と肉体が統一された理想的な姿勢となります。
頭持ちとしての座り方に正座があります。正座位は膝をそろえ
て畳んだ座法になりますが、床に接する面が大きくなることで土
台が安定するため、骨盤と脊柱が安定します。脊柱の上にある頭
が安定し、頭持ちが楽にできる体勢となります。頭の位置をどこ
に置けば、精神と肉体の姿勢にどう影響するかを日本の古代人は
知り、姿勢制御、精神統一に活用していたのです。
「頭持ちは体の回転運動を主動する」
頭持ちは頭の位置や動かし方で、体の動きや姿勢を制御するこ
とができます。その中でも体の回転の動きの主動となります。
フィギュアスケートのスピン運動やバレエに於ける軸回転運動で
バランスを崩さず高速に何回転もするには、体を回そうとするの
ではなく、頭部を素早く回転させます。そうすることで体幹部が
連動して、軸の通った高速の回転ができるのです。つまり体軸回
転運動は頭部の回転が主動していたのです。
体の前後の方向への回転運動も、頭の回転の動きが主動してい
ます。わかりやすい例として、幼児に床運動の前まわり(でんぐ
り返し)を指導する際に、できない子どもに対して、両手を床に
つかせて、頭をこんにちわと前方に回転させるように言うと、
実に自然に前まわりができるようになります。つまり頭部が前屈
すると、それに連動して体幹部が前方に丸まり、自分で前に回
ろうとしなくても、体全体が自然に前方に回転するのです。
古代の日本人は、頭の持ちようで全体の姿勢や精神をコントロ
ールし、頭の動きを利用する事で、体の回転運動を主動し、制御
できる事を発見し頭持ちと表現し伝え残していたのです。
「腰すえについて」
重い物をもち上げる時、立ったままの姿勢では力は出ません。
しっかり腰をおとして構えをしっかりとる事で、重い物を動かす
力が出ます。腰すえとは少し膝を曲げ、腰を落として腰の重心を
低くして構える姿勢を言います。立ったまま腰だけを曲げて荷物
を持ったり、腕の力だけで持ち上げようとすると、腰を痛めたり
ぎっくり腰になってしまいます。
また「何事も腰をすえてかかりなさい」と言いわれるように、
腰すえは単に体の使い方だけではなく、じっくり本気で物事にあ
たる様を表わします。
「肩入れについて」
肩入れという表現は現代では、体の使い方を示す言葉ではなく、
他の人の手助けをする、手伝う、力添えするという意味に用いら
れています。しかし本来の意味は、武道等に於ける体の接触時に
自分の体勢を優位に保ち、相手の体勢を崩す際に使用する、体の
使い方を示す表現になります。
サッカーのコーナーキック時やバスケットボールのゴール下で
の相手との位置取りや、ドリブル時の攻防等に於いて、相手の
体勢を崩し、自分が優位な体勢をとる場合に、相手との間に肩を
入れる事で相手を制します。肩入れは非力で、体が小さくても、
自分の体勢を崩さず、有利な体勢がとれる体の使い方になります。
肩を入れる事で自らの体勢を助け、力を出せる方法となるのです。
肩入れの作り方は、合掌の形からの変形になります。胸の前握
り拳一個分開けた合掌の形から、両手を離し開き、手の平を返し
て手掌を下に向け、前腕部を内旋しながら、下方に落とし、上肢
全体が弓形(手刀の形)の形になるようにします。この時の肩の
位置が肩入れの形となります。肩が前下方に入った位置です。
この位置関係が上肢の屈筋を働かせず、伸筋だけが最大収縮する
事で、強い関節の形を作り出すのです。これにより、自らの体軸
は保たれ、なおかつ一番強い体の使い方ができるのです。
「手刀の意味」
手刀(てがたな)肩入れと組み合わせて、重要な意味をもつ関節
の形になります。肩を入れて手刀を切ると驚異的な力の出し方と
なります。手刀は、上肢全体が弓形となり、日本刀の反り返った
形に似ている事から呼ばれています。また日本刀の強靭で鋭い切
れ味と同じ意味を含ませています。合掌の形から、両手を開き、
片側の手掌を返し、手掌が下になる形から、上肢全体を内旋させ
ながら、手を下方に降ろした形をとります。その時上肢全体が弓
形(刀の反った形)になります。手刀の形は、上体の屈筋となる
大胸筋、上腕部の屈筋の上腕二頭筋、前腕部の屈筋の全てが弛緩
し、逆に上腕部、前腕部の伸筋群は全て緊張している事が条件と
なります。この手刀を説明するために、柔道の受身を用いて解説
します。
柔道の受け身とは、床に投げ飛ばされた体の衝撃を最小限に留
め、身の安全と命を守る技法として使用されています。これを習
得していないと命の危険やや重篤な障害に繋がるからです。受け
身は投げ飛ばされて、床に激突する強い衝撃が体幹部(内臓)に
及ばないように力を逃す体術になります。床に体が着く前に自ら
の上肢をバネやクッションにして、体を回転する事で衝撃を逃し
ます。この時の床に手を着く上肢のバネとクッションの形が手刀
の形となるのです。投げられて、重力加速度の付いた体重の何倍
もある大きな力を片手で支えるには、腕力だけでは到底及びませ
ん。一番強い関節の形、手刀の形が必要となります。弓形になっ
た上肢の形に沿って、手ハズ、肘、肩と力を逃し、体幹部を回転
させる事で、一点に力の集中が及ばず強い衝撃が体に入らない
ようにするのです。
「ハズの構えの意味」
ハズとは弓矢の部位を示す言葉として使用されています。矢ハ
ズと言って弓矢の矢の羽根側で、弦に矢をつがうV字型の窪みの
部分の名称となります。またハズの使い方として、無くてはなら
ない物を表わす格言としても使用されています。立派な弓矢でも、
矢をつがえる際にハズが刻まれてないと、弦に固定できず、使い
物になりません。この例えから、「手筈(てはず)」という言葉
が生まれ、「手筈を整えておく」という表現になり、何事も抜か
り無く完璧に準備するという意味となったのです。
ハズとは楔(くさび)の形を意味する言葉になりますが、日本語
でくさびとは、V字型の形の物を言い、「くさびを打ち込む」と
いう表現は、頑固で難攻不落な案件であっても、くさびをもって
すれば、打開が可能になるという例えに使われます。石やコンク
リートのように硬い物質であっても、先端が楔形の金具があれば
これを打ち込んでいく事で、粉々に破壊ができるのです。つまり
固い物を破砕する事ができる形が楔形となり、この形が一番強度
の出せる形となります。この原理を用いて、手の関節と指の関節
を一番強い形にするのが、ハズの構えになります。
「ハズの形の作り方」
ハズの構えとは、手の五本指の親指を大きく一杯に開き、他の
四指は閉じ、小指だけを屈曲した形をいいます。この小指を折る
と、これに連動して、薬指と中指がやや屈曲位になります。この
時、親指と人差し指は、ピンと伸び、一杯に開かれたVの字形に
なる事が条件となります。これがハズの構えです。
これは別名鷹の爪と言い、攻防の要となる手の形になります。
相手の打拳を受け止めたり、かわす際の一番強い関節の形となり、
また手首や拳を痛めない形になります。さらに鷹の爪と称される
様に、相手の手首や腕を強く素早く掴んだり、引っ掛ける事ので
きる手の形、前腕部の形となるのです。
格闘技やボクシングの打拳には握り拳(こぶし)が使用されてい
ますが、強い破壊力を持つ反面、実はこの打ち方は、拳を骨折し
たり手関節を痛めます。打撃の衝撃の強さはハズの構えからの
掌底(しょうてい)打ちの方がはるかに大きいのです。ハズの構え
からの掌底打ちは、相撲の突っ張り(鉄砲)の掌の作り方と同じ
で、この手ハズの形からの突っ張りが、一番大きな力を相手に及
ぼす事ができます。その衝撃力の強さは驚異的で、重い体重と
相まって最も強い押しの形と言っても過言ではありません。これ
は防御に於いても強い力の形となり、いなし技に於いても相手の
力の方向をかわす理想的な手の形となります。
「足のハズの形について」
ハズの構えは手関節だけではなく足にもあります。手と同様に
足の形をハズに作る事で、体に大きな推進力と体勢の安定を生み
出します。例を挙げれば、格闘技の蹴り技全般、特に回転回し蹴
りの際の軸足の形となり、体勢の安定と、高いハイキックでの力
を出すのに威力を発揮します。サッカーのボレーキックにも応用
できます。さらに陸上競技の走り高跳びの最後の踏み込みの形と
して、大きな推進力を出すこともできます。
足のハズの作り方は手刀と手ハズの形の作り方と共通していて、
手ハズ同様に、足の母趾を大きくV字型に開き背屈させ、踵着地
ではなく母趾球を地面に着地させた形になります。この時の下肢
全体の形は、手刀の作り方と同様に、足関節、膝関節、股関節で
弓形(軽い“くの字型”)を作ります。この軽く膝を曲げた弓形
によって、一番強い下肢の形が形成され、足ハズの形が合体する
事で、足のハズが完成します。
「足のハズの構えの習得法」
(1)「ハの字、逆ハの字」横移動法」
立位の姿勢から、足をハの字、逆ハの字と交互に踏み替えます。
このままだと横に移動できないので、片方の足は踵、もう一方の
足はつま先を支点にして、ハの字、逆ハの字を行なうと横への移
動ができます。これを交互に繰り返す事で横への移動が可能にな
ります。これを右方向、左方向と行ったり戻ったりと繰り返しま
す。移動距離は場所の広さに応じて設定して下さい。この動作を
繰り返す事で足のハズの形が作りやすくなり、軸になる足が安定
する事で、足のハズを支点にした体幹部の回旋がスムースに行な
えるようになります。また蹴り足も高く上がります。さらに体幹
の軸作りにも効果があります。股関節と骨盤のゆがみを修正する
効果も期待できます。
(2)「立位片足挙げ一本足歩行」
立位から膝を折った片足を高くもち上げ、両手はハズの構えを
とり、片足でバランスをとりながら、体幹に軸を通しハス(斜め)
に構えた体勢から、軸足を踵、つま先と交互に踏み替えながら、
体のねじりを利用して前に移動する鍛錬法になります。なかなか
バランスのとりにくい難しい片足歩行法になります。
ふらつかず、手の構えも崩さず、軸を保った状態で前に移動でき
るようになる事で、足ハズからの片足のバランスがとりやすくな
り、蹴り足が高く上がり、蹴り足の威力が増します。
「いなしの概念と技法について」
いなしいう技法は、相撲の世界では日常的に用いられ、勝敗を
分ける重要な技(わざ)の一つとなっています。相手のぶち当た
り、突っ張りに対して、まともに正面から受けるのではなく、
相手の力を利用して、力の方向をいなす事で、力を分散させ、
相手の体勢を崩す技法です。これは相撲のみならず、体接触を伴
うすべての格闘技、スポーツに於いて身につけるべき体術になり
ます。
このいなしという表現は体術の世界だけでなく、人間関係にお
いても、相手の強い態度や言動に対して、うまくかわし、いなす
事で相手を傷つける事なく、その場をうまく仕切れる方便として
使われます。また、江戸っ子の粋な生き方の代名詞となる「いな
せ」とも通じ、日本人ならではの身の処し方です。
いなしの技法を身につけるためには,以下の条件が必須です。
まず自分の体勢が安定していて、自分の体を自由に前後、左右に
回旋することができ、なおかつ全身が脱力した体の使い方が必要
です。実際の体の動かし方は、前後のステップイン、バック、
左右の素早い移動、体幹の回旋を利用した身のかわし方、肩入れ、
手刀、ハズの構えからの強い関節の作りを利用した上での力の
方向を、いなすための回転術になります。
これらの全てを達成するためには、頭もち、腰すえ、肩入れ、
手刀、ハズの構え、全身脱力の条件の全てが加わる事で、いなし
は達成できるのです。これに加えて、精神面での「いなせ」の心
が必要です。相手の力をいなすためには、自らの体勢と心にいな
せがなくては身につきません。ある意味一番難しい体術と言えま
す。これを身につけるためには、体の使い方、力の出し方を充分
に認識し、実践し、その形が身につく過程を踏む事で可能になる
と考えます。
「まとめとして」
医学と武道の世界には、「武医同道(同術)」という言葉が存
在します。これは人の身体を治し救う医術と、逆に人を倒す武術
は表裏一体のもので、その使い方の違いで、どちらも命を救った
り守ったりする技術という意味で用いられています。武医同術と
しての医術面での応用が日本伝承医学であり、武術面での応用が
体術になります。
頭もち、腰すえ、肩入れ、手刀、ハズの構え、いなしの体の使
い方、力の出し方は、世界的にあまり例を見ない身体運動法と言
えます。これらを生み出した背景には、日本人が世界一、骨を大
切にする民族として、骨を研究する過程で、骨の組み合わせとな
る関節の形に着目した体の使い方、力の出し方があったからです。
このような関節の形の研究は、古代日本人の骨と関節への、深
い造詣と畏敬の念、卓越した高い見識が込められています。現行
の体力、体幹強化、筋力強化法を行ないつつ、別の視点に立った
体の使い方、力の出し方を身につけるべきと考えます。
追記:体の縦、横運動の法則
運動時の体の使い方には、ある法則が存在します。これを応用
すると、体の縦方向の移動、横方向への移動が一番速く、素早く
行なえるようになります。
「体の横への移動の法則」
人の動きは、自らの意志によって動く事ができるようになって
います。これを随意運動と呼びます。例えば右横に移動しようと
思えば、すぐにこの動作は完了します。しかしこの動作を最大に
速く行なうためには、横に動こうとする前に、ある予備動作を
入れると、さらに素早く横への動きができるのです。これを証明
するスポーツシーンを二つ紹介します。
一つはサッカーのPK時のキーパーの動きです。キッカーのキッ
クに対して、キーパーはある広さのゴール枠を守るためには、
左右どちらにも一番速く反応して、ボールを枠内に入れさせない
事が使命です。そのためにはどうしたら、左右に一番速く反応
できるかを試行錯誤してきました。その中から到達した運動方
法が、スプリットステップだったのです。つまり横に動く前の
予備動作として、縦方向に軽くステップを入れる事が、一番素早
く左右どちらの方向へも横移動ができる、PK阻止のための方法
だったのです。つまり横に素早く動くためには、まず縦の動き
を軽く入れる事が必要なのです。これが体の横への移動の法則
になります。
次にこれと同じ法則を用いているのが、テニスのサーブレシー
ブ体勢です。、レシーブ寸前に、縦へのスプリットステップを踏
む事が、左右に一番速く反応できる動きになるのです。これは
ボクシングの攻防の際の動きにも使われています。サッカーに
於けるコーナーキック時の敵味方の攻防に於いても、ただポジシ
ョンをとるだけではなく、縦へのステップを踏みながら構える
と、相手より素早く移動できます。そのためには、この体の動き
の法則を理解する必要があります。
「体の縦方向への動きの法則」
縦方向への動き法則は横方向への法則の逆になります。つまり
体を左右横方向へ細かく揺動させる事で、体の縦方向への動きが
最も速くできるのです。縦方向という事は、上だけでなく前後の
動きにも作用します。この動きはボクシングの攻防に表われてい
ます。ボクシングの試合に於いてステップを踏まない選手はいま
せん。相手のパンチをかわし、自らのパンチを相手に当てるため
には、前後左右に自由に移動できる予備動作が必要です。これを
達成する方法が、前後左右への体重移動のための足のステップに
なります。この動きの重要性は、長い実経験を踏んだ上で到達し
た動きの法則なのです。故にボクシングのトレーニングには、
片足交互縄跳び運動が採用されているのです。