日本伝承医学の生命観・人体観・疾病観は、これまでに例をみな
い多次元な探究によって構築されています。生命のしくみは「物質・
エネルギー・情報」の三態で構成されているという基本認識の元に、
人体のしくみを「構造・機能・形態」に分類して、それぞれの面か
らアプローチしています。
 物質としての人体の構成を「固体・液体・気体」という三態からと
らえ直し、液体主体説の中から「ゆり・ふり・たたき」という独自
の技法を考案しています。また病気とは、人体の電気レベルの低下
と流れの停滞が先行しておこり、血液の「循環・配分・質」に異常
をきたすことで、発生しているという基本概念でとらえています。
故にすべての病気治療の基本は、低下した電気レベルを高め、人体
電気の流れを整え、血液の「循環・配分・質」を変えることにある
と考えています。これは漢方医学の治効理論である「気・血」の調
和という考え方と共通した理論になります。しかしその方法が鍼や
灸、漢方薬を使用する漢方医学とは異なっています。
 日本伝承医学の理論と技術は、古代日本人の叡知と生命・人体の
多次元で多面的な探究の中から発見された、人体の「骨」に対する
卓見を基本に構築されています。「骨」を生命活動の中心的役割を
担うものとしてとらえ直し、骨は生命のしくみの三態である「物質
(カルシウム)・エネルギー(電気)・情報(骨髄の中の造血幹細胞)」
の貯蔵庫であると確信したのです。この中から生まれた叡知が日本
伝承医学の技術になります。

生命・人体の全面的認識から生まれた日本伝承医学

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