腰のだるさと痛み   

私たちの体は脊柱(背骨の形)S字カーブに乱れが生じた時に、
下半身や腰、膝にだるさや痛み、違和感を発症させていきます。人間
は二足歩行をするため、重力に耐えられるように脊柱をS字カーブに
してバランスを保っています。このS字状になっている脊柱の乱れを
正すには身体のねじれのゆがみを正常に復する必要があります。

日本伝承医学ではまず全体調整によって身体のねじれのゆがみを
正していきます。そしてゆがみのねじれの原因のもとになっている
心臓のポンプ機能を高め、肝臓の充血(胆のうの腫れ)を除去し、
血液の循環・配分・質を整えます。内臓機能が改善されれば身体の
ねじれのゆがみは正され、脊柱のカーブが正常になっていきます。

脊柱のカーブが崩れると脊柱管に通っている神経が引き伸ばされ
ます。神経はつまんでも痛みはなく、引きのばされたときに痛みや
違和感を発症します。腰椎すべり症の場合はS字カーブの乱れにより
第五腰椎と仙椎(仙骨)(又は第五腰椎第四腰椎間)がすべるように
ずれることから発症すると言われます。ずれたことにより神経が引
き伸ばされて仙骨付近から一直線状に痛みを生じさせます。脊柱管
狭窄症も同様の原理になります。腰椎分離症は、腰椎すべり症が
ひどくなった状態と言えます。腰椎分離症では、腰部痛みの他、
下肢にしびれも発症してきます。腰椎後方部が分離(疲労骨折)する
ことで生じます。

脊柱は7個の頸椎、12個の胸椎、5個の腰椎、1個の仙椎から成り
立っています。脊柱の脊柱管の中には重要な神経である脊髄が通っ
ています。脊柱の椎骨間には柔らかいゲル状組織の椎間板があり、
衝撃から守るクッションのような役目をしています。脊柱の動きを
滑らかにし、脳脊髄液の環流を守っています。脊柱のS字カーブ
乱れると、椎間板が突出し所謂椎間板ヘルニア等の症状を発症させ
ていきます。

 このように下半身や腰に生じる症状は、その部位だけをみるのでは
なく、体全体との関連の中でみていくことが大事です。病院では
その部位だけを診て診断名がついてしまいますが下半身や腰に表わ
れる症状は内臓機能との関連の中で、脊柱にねじれのゆがみが生じ
たことから発症していくということを認識して頂きたいと思います。

「三里の灸」という言葉があります。古人が旅に出る時は、足の
三里(さんり)に灸を据えたと言われています。三里とは経穴(ツボ)
の名称で、長距離を歩くと足腰()に弱りが出るので、無事に長旅
ができるように三里に灸を据えたのです。(1里は約3.9キロメートル)
このように生命力の弱り、免疫力の低下は、体を支えている足腰
(
腰、でん部、膝、膝下等)に症状が表われてきます。免疫の要(かなめ)
でもある
腸機能や脾臓にも弱りが出てきます。日本伝承医学では
病気や症状を体全体との関連の中で捉えて改善していきます。