筋肉の話
【筋肉には3つの種類がある】
骨格筋・・・骨格筋は収縮性のある筋繊維の束が
規則正しく配列し横縞模様に見えることから横紋
筋とも呼ばれます。脳からの指令でコントロール
され、本人の意思によって動くので随意筋とされ
ています。
平滑筋・・・平滑筋は多くの動脈を取り囲んでい
て、収縮することで血流量を調整しています。
腸の周囲も平滑筋が取り囲み、収縮して消化管内
の食物や便を移動させています。平滑筋も脳に
よってコントロールされていますが、骨格筋の様
に自分の意思では動かせず、意思に関係なく動く
ため不随意筋とみなされています。
心筋・・・心臓を形作っている筋肉が心筋(心臓
の筋肉)になります。本人の意識に関係なく収縮
と弛緩を繰り返しています。
【知っておきたい筋肉の働き】
① 血液を心臓へ戻す働き・・・骨格筋が収縮
することで血管を収縮してポンプのような役割を
果たし、心臓へ血液を送り返しています。筋肉が
萎えてくると心臓へ血液を戻す力が弱まります。
② 免疫力を上げる働き・・・筋肉に多く蓄えら
れているグルタミンによって免疫細胞(リンパ球等)
は活性化されます。故に筋肉量が減ると免疫機能も
低下していきます。
③ 体温調節・代謝を上げる働き・・・私たちの
体温を一定に保って生命を維持していく上で必要な
基礎代謝のほとんどは骨格筋が担っています。
④ 水分を貯蔵する働き・・・骨格筋は体の約60%
の水分を保持し、水分を体に貯める貯水庫としての
役割を果たしています。筋肉の約75%は水分から
できていて、水分摂取が少なくなると筋肉もひから
びて、体が柔軟性を失い、慢性的な体や関節の痛み
を引き起こしていきます。
⑤ 熱を産出する働き・・・人が生きていく為には
一定の熱を作り出す必要があります。その熱は筋肉
や内臓から作り出されています。
⑥ 体を動かす働き・・・筋肉が伸びたり縮んだり
することで関節を曲げたり伸ばす作用が働き、体を
動かすことができます。
⑦ 骨や関節を守る働き・・・歩く時、走る時、
何かの動作をする時の衝撃を吸収して骨や関節を
守る働きをします。
【筋肉は2週間で萎えてしまう】
人間の体は何もしないで安静にしていると約2週間
で筋肉が萎(な)えてしまい、筋力と筋肉量が大幅に
低下してしまいます。一度低下した筋肉量をとり戻
すには3倍の時間がかかると言われています。筋肉
量を低下させないためには、日本伝承医学では毎日
の家庭療法としてつま先立ち、ストレッチングボード、
台に手をついての腕立て伏せ、『食・息・動・想・眠』
の指導を行なっています。家庭療法は病状や様態に
合わせてアドバイスしていますので担当の臨床士迄
お申し出ください。
【サルコペニア】
筋肉量の減少に伴い、筋力や身体機能が低下して
いく病状をいいます。骨格筋量、握力、歩行速度
をもとに、骨格筋量と身体機能が一定以上低下し
ている場合にサルコペニアと診断されます。日本
では65歳以上の約15%がサルコペニアに該当する
と言われています。
筋肉量低下による症状・・・体が重い、立ち上がり
や歩行時に支障が出る、立ちくらみ、息苦しさ、
ふぁ感、動悸、めまい、眼精疲労静脈瘤、関節痛、
疲れやすい、だるさ、眠りの質の低下(不眠症)、
つまずきやすい、転びやすい、ふらつく、歩くのが
遅くなった、喉がつまる、箸がもちにくい、食器を
時々落として割る、下痢が続く、筋肉がピクピク
する時がある、筋肉に痛みやつっぱる感がある、
握力の弱り(ペットボトルのふたの開け閉めが
しづらい、ビンの蓋の開け閉めがしづらい)、
重いものがもてない、骨折しやすい、気がせく、
記憶障害(もの忘れが多い)、情緒不安等
※このような症状を未然に防ぐためには、毎日の
適度な運動(歩行)、バランスのとれた食事が大切
です。健康な身体は日々の生活習慣の積み重ねに
なります。気づいたときからでも遅くはないので
実践していくようにします。
日本伝承医学
≪参考文献≫
有本政治著:『日本伝承医学家庭療法』