≪家庭でできるストレッチ≫ 

【僧帽筋は大事】      

僧帽筋(そうぼうきん)が固まると上半身が固まってしまいます。上半身が
固まると内包されている心臓、肺、脳の機能が低下していきます。僧帽筋は
脳へ血液を送りこむ働きを司る大事な筋肉になります。最後に紹介する健康
ストレッチを毎日継続することで、筋肉をほぐし脳への血流を促すとともに
心肺機能を上げていく事ができます。

【僧帽筋とは】

僧帽筋は首から肩甲骨のあたりまで走っている筋肉になります。大きな筋肉
なので上部・中部・下部の3つに分けることができます。この3つはそれぞれ
異なる働きをします。

僧帽筋上部・・・肩をすくめる動きや首を下に向ける動きに関わっています。

        後頭骨から頸椎棘突起、鎖骨に付着していて、頸部(首)
        を動かす主動作筋になります。

僧帽筋中部・・・肩甲骨を後ろに引くときに使われる部位で、深呼吸をする
        時に胸を張り肩甲骨を寄せる時に
使われます。胸椎上部の
        棘突起の腱膜から肩甲骨の肩峰に付着しています。 

僧帽筋下部・・・物を引き寄せたり引っ張る時に使われます。胸椎中間から
        下部の棘突起から肩甲骨肩甲棘に付着しています。

【僧帽筋はなぜ固まりやすいのか?】

私たちの体の中で首と肩は最も可動域が大きい関節になります。この部位に
深く関わるのが僧帽筋になります。首や肩は重い頭や腕を支えているのでこの
部位の筋肉は常に緊張にせまられています。これが肉体的疲労や精神的スト
レスを受けることによって余計に緊張し固まっていきます。特に精神的スト
レスの持続は肝臓を充血させ血液の配分・質・循環を乱すので良くありません。
血液が充分に行きわたらなくなり筋肉が萎え柔軟性を失ない固まってしまう
からです。

【僧帽筋と神経の話】

僧帽筋は、頸神経叢(けいしんけいそう)と脳神経のひとつである副神経の
2種類の神経の支配で動かされています。胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつき
ん)もこの2つの支配を受けています。人体の中で最も大事な筋肉なので二重
支配になっているのです。

頸神経叢⇒脊髄神経から分岐して頭・首へつながる神経叢になります。

脳神経⇒脊椎動物の神経系の中で、脳に出入りする抹消神経の事を
    言います。末梢神経は中 枢神経以外の(脳と脊髄以外の
    神経)体の各部に存在する神経繊維になります。

胸鎖乳突筋⇒頸部にある筋肉にひとつになります。首を曲げたり回
      転させる働きがあります。
骨と鎖骨を起始とし、
      側頭骨の乳様突起が停止となります。

副神経は延髄から出ます。延髄は脊髄へとつながっていています。脊髄の首
の部分を頚髄と言います。この神経の走行ルートの始まりの核は、頚髄の
1~6番から細胞柱を作ります(頚椎の中を通る神経を頚髄と言います)。
核から集まった脊髄根は、大後頭孔を通り、頭蓋の中に入ります。頭蓋の中
の副神経は頭蓋に開いた頚静脈孔を通って頭蓋腔に出ます。ここから出た
神経が、僧帽筋と胸鎖乳突筋を支配します。

脊髄神経が通っている頚椎(首の部分)に、ゆがみ、ねじれの位置異常が起
こると、副神経にも異常が起こり、僧帽筋や胸鎖乳突筋の動きが悪くなって
いきます。これが頭痛の引き金にもなります。

※日本伝承医学の治療では、頚椎のゆがみをとり正常にすると共に、動きを
失った鎖骨の動きをとり戻していきます
(参)H.P日本伝承医学人体積木理論に頸椎のゆがみの根拠と機序は記されて
   います。

【ストレスと筋肉の話】

ストレスには有意識と無意領域があります。無意識領域のストレスは潜在下
のストレスをさします。自分ではあまり意識していなくても、潜在下ではほん
とうは気になっていて、ストレスに感じていることが人にはあります。自分
でも知らないうちに交感神経と副交感神経のバランスが
乱れてしまうのです。
自律神経のバランスが乱れている状態になります。

自律神経とは内臓や血管、汗腺等を支配する神経で、交感神経と副交感神経
のふたつで構成されています。このふたつの神経は正反対の作用をします。
ひとつが働いているともう一方は沈静する仕組みになっています。

ストレスを受けると交感神経が優位になります。そうすると筋肉は緊張し固
まり、血流が悪くなります。体はそれを速やかに改善し、早く血液を送ろう
とするため為、血管をぎゅっと収縮させて頭痛、首痛、背部痛等の痛みを発
生させます。

 交感神経⇒活動している時・緊張している時・ストレスを受けて
      いる時に働く

      こちらが優位になると血圧が上昇し呼吸が浅くなる 

 副交感神経⇒休憩している時・眠っている時・リラックスしている時に働く
       こちらが優位になると血圧が下降し呼吸が深くなる   

 ※つまりこのふたつの神経はシーソーのように交互に働いていきます 

 

筋肉が緊張した時に起こる頭痛は「緊張型頭痛」と言い、重く、おさえられ
ているような、何か荷重がかかっているような、圧迫されるような痛みや違和
感が生じます。「偏頭痛」のようなズキズキ、チクチクした拍動性の痛みでは
ありません。

緊張型頭痛は首周辺の筋肉、特に僧帽筋、胸鎖乳突筋の緊張によって脳への
血流が悪くなることによって起こりやすくなります。なぜこれらの筋肉群が
緊張するかというと、ストレスにより肝臓が充血することで脳が虚血(血液不
)になるため、脳へ速やかに血液を回そうとする対応をとるため筋肉群を緊
張させていきます。

※日本伝承医学の治療では自律神経調整法、後頭骨擦過法により、交感神経
 の緊張をとっていきます。また
全体調整によって身体のねじれ、ゆがみを
 正し、血液の循環・配分・質を整えていきます。日本伝承医学は心臓機能
 を高めていく心臓中心の医学と言えます。心臓機能が正常になっていくと、
 血流が良くなり僧帽筋の緊張がとれていきます。家庭療法として局所冷却
 法とストレッチの指導を行なっています。

 
【家庭でできるストレッチ】

①足を肩幅くらいに開きます

➁ひじをまげてグー握りをしてゆっくり後ろにひきます

③手をパーに開いて空気の壁を押すようなイメージで前へ伸ばします

④真上に耳につくように手を上へあげて腕を曲げながら真横におろしカニさん
 のようなポーズをとります

⑤後ろへ腕をグっと引いて肩甲骨を寄せていきます

⑥手を下におろします

⑦同じ動作をもう一回繰り返します。
 約3分になるので毎日継続していきましょう。