人の体のナゼとワケーーー逆子と横子の意味


生きとし生けるものが表す体の反応には、全て意味があります。現代では病気
や症状を、一方的に悪い反応として捉えられ、対処が講じられています。
しかし、自らの体を悪化させる方向に導いたり、早く死に至らしめるために症状
を発生させているわけではありません。何かを守るために、最後まで命を存続
させるために、一時的に必要な対応をとっているのです。意味があって体に反
応を起こしているのです。この観点に立って胎児の逆子(骨盤位)と横子(横位)
の意味を考察してみます。結論的に言えば、逆子や横子は、流産や早産を防
ぐための対応をしているのです。

妊娠20週位までは、羊水の量も多く、胎児の体も小さく体重も軽いため、胎
児は羊水の浮力により子宮の中を漂っているような状態で過ごしています。
25週を過ぎると体も大きくなり体重も重くなってきます。この頃になると胎児の
重さと羊水の量の減少のため、胎児を羊水の浮力で浮かせたり、胎児を持ち
上げることがむずかしくなります。胎児は重力に従って下がってくるからです。

この時期の胎児の形は、頭が大きく胴体や下半身は小さい体型をしています。
頭が重いため、頭を下にした態勢で子宮内に収まっています。これが子宮口から
産道に頭が入りやすく自然な分娩態勢になります。ただその反面、子宮口が
緩めば頭が入り、流産や早産の危険性は高くなります。現代女性の生命力低
下の現れとして、子宮口の弛みがあり、流産や早産を防ぐために子宮口を縛る
手術を受ける妊婦さんが急増しています。

私たちは肛門から便を出す以外は、自然に肛門を締めています。この力が低下
してくると、便を漏らしたり、脱肛になったりします。死の判定を瞳孔の散大と肛門
の脱出で行なうように、生命力が弱ってくると、人は肛門を締める力を失っていく
のです。つまり肛門を締める力が弱まる事は、生命力や免疫力の低下を意味し
ているといっても過言ではありません。腹圧の低下も同様に生命力の低下を表
します。尿漏れも同じ機序で起こります。骨盤底筋の弛みが直接的な要因ですが、
背景には生命力の低下があるのです。このように体の出口に相当する場所を締
めたり、腹圧に関わる作用は、生命力と大きく関わっているのです。

母体は胎児を流産や早産から守るために、自然に子宮口を締め、腹圧を利
用して胎児を持ち上げています。しかし遺伝的体質の弱さや、心身共に疲労が
蓄積したり、生活習慣が乱れてくると体が弱り、生命力や免疫力が低下して
いきます。そして締める力や腹圧で持ち上げる力を低下させてしまうのです。
生命力は重力に抗して持ち上げる力を指しています。体力や
生命力が落ちてくると、段々と立ち上がれなくなっていくのは、自重という重力
に抗する力が無くなっていくからになります。

こういう状態に追い込まれた母体は、胎児の本来の態勢を逆転させたり、横
向きにして子宮口に入りにくくし、流産と早産を防止する対応をとっていくので
す。横子にする場合は、母体の体力や生命力に著しい低下がみられる場合で
す。横向きの姿勢をとっていくことは、流産をさせまいという強い現れでもあります。
体のとる対応は、こうした人智を超えた働きをしているのです。

故にこの段階で、逆子や横子を悪い反応として捉え、背景にある原因を無視し
て、安易に元に戻す処置を取ってはいけません。元に戻すことで流産や早産に
なってしまう場合もあるからです。逆子の場合は臨月に入ってから自然に戻る
場合も多々あります。まず母親は不安にならないように過ごしていくことが大事
です。不安な気もちは、脳を常に緊張させ、頭に熱をこもらせ、その持続が肝
臓を充血させてしまうからです。中身の詰まった大きな臓器である頭と肝臓に
充血が起こると、全身の血液の配分が乱れ、母体の体調を崩してしまうと共に、
胎児への血液供給を低下させてしまいます。

不安や精神的な疲労を軽減するには、自分の気持ちを我慢して内にこもらせず
誰かに話して、はき出していくことが必要です。肉体的な疲労は、食事、睡眠、
運動(歩行)といった生活習慣を見直していくことで軽減できます。羊水は
歩くことで循環されていくので適度に歩行することは、とても大切です。睡眠は
夜10時から朝の4時までは横たわるように心がけます。この時間帯が脳から
成長ホルモンが分泌され細胞を活性化させます。この時間帯に眠ることで疲れ
がとれ、新陳代謝も良くなっていくからです。

日本伝承医学の治療では、低下した生命力や免疫力を元に戻していくことが
できます。生命力とは、細胞新生力のことを言い、免疫力とは造血力のことを
言います。細胞新生と造血は共に体の中の骨髄で行われます。この骨髄の
機能を発現させることができるのが、日本伝承医学の特徴になります。
これにより、効率的に速やかに生命力や免疫力の低下を改善することができます。
また症状の要因となっている、全身の血液の循環、配分、質の乱れを整える
ために、日本伝承医学では心臓と肝臓の機能を高めていきます(肝心要の治療)。
そして家庭療法としての、頭と肝臓の「氷冷却法」を行うことで、頭と肝臓の充血
と熱を除去し、全身の血液の配分を整え、母体と胎児に充分な血液の供給をし
ていきます。脳内の熱のこもりが解消していくことで、精神的な疲労の蓄積も軽減
することができます。

このように低下した生命力や免疫力を徐々に回復させていくことで、体は子宮口
を締め、腹圧を上げて、胎児を持ち上げる事が出来るようになります。そうすれば
逆子や横子にする必要が無くなり、出産に向けて一番良い態勢に自然に戻って
いきます。